短編
□大人で子供な先輩へ
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突然拉致られて入ることになった、ボンゴレ特別暗殺部隊ヴァリアー。
最初はどうしようもなく嫌で、めんどくさくて、何度先輩達の寝首をかこうと思ったか。
それでもミーがここにいる理由。
それは、
「フラン、なにボーっとしてるの?・・・って、いつものことか」
「失礼ですねー。ミーは考え事してたんですー」
「はは、ゴメンゴメン」
――なまえ先輩
世界で一番大切な人が、ここにいるから。
× × ×
「敵さんの数多いね」
「そうですねー」
久々の二人っきりの任務。
正直敵の数とかどうでもいい。
だってミー達から見れば、あいつらは自分達の家の前でたむろってるあり同然だし。
それに今横にいるのがなまえ先輩だというだけで、ミーの力は百万倍だ。
負ける気はしない。
「どうやって攻め込みますかー?ミーの幻覚でかく乱させるのもいいですしー、そのままつっこんでも早く終わりますしー」
そう、速く終われば終わるほどミー達二人のプライベート時間が長くなる。
戦場で二人っきりっていうのもなかなかそそるけど、どうせならゆっくりと過ごしたい。
自分から意見を言うミーが珍しかったのか、少し驚いた後なまえ先輩は小さく苦笑した。
「一応数が数だし、ボスは一週間の有余を私達にくれてるんだよ?ゆっくりいこう」
「は、はぁ・・・」
のんびり屋という言葉で片づけられたらどんなに良かったか。
大人なのだ、彼女は。
年齢的にはそう大差はないと思うが、きっと精神年齢はヴァリアーのなかでも一番上なんだろう。
それがミーにとっては少し不愉快だ。
子供あつかいされるのもそうだが、なによりいつだって守ってもらうのがミーだという事実が。
いつの間にか顔が歪んでいたミーに気付いたのか、なまえ先輩は、またいつもの優しい、温かい笑顔で言った。
「心配しなくても大丈夫だよ。フランは私が守るから」
「いい加減にしてください!」
ミーの頭に伸びかけたなまえ先輩の手を、ミーは衝動的に振り払った。
「ミーは子供じゃありません!なまえ先輩に守ってもらわなくても一人でこんな雑魚片せます!」
「フラン・・・」
口からは思ってもない言葉が次々と飛び交う。
こんなことがいいたいわけじゃないのに!!
このままだと取り返しのつかない事を言ってしまいそうで、ミーは一人敵陣に飛び込んだ。
なまえ先輩の制止も聞かずに。
――今思えば、ミーはただなまえ先輩に頼ってもらいたかっただけなのかもしれない。
男としてのミーに。
女として先輩が。