ひみつのキスをして?
□君との距離が近すぎて 2
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「お前、ジュンと付き合ってたの?」
「うん、」
スンホは、飲んでいたグラスを、勢いよくテーブルに置いて、
わたしを見た。
「で、いつ別れたんだよ?」
「2ヶ月くらい前、かな」
スンホは、わたしを見つめるのをやめて、グラスをあおる。
ジュンとスンホは昔から仲が良くて、
今でも時々遊んだり、連絡を取り合ってるらしい。
「それでこの前、突然ジュンが家に来たんだ」
「うん、まだ好きだって言われた」
「あいつ勝手すぎるだろ、別れるって言っておいて、またそんなこと言うなんて」
「わたしが別れるって言ったの。」
スンホは、「お前らってほんとよくわかんない」そう言ってため息をついた。
「わたしも、わかんないよ。ジュンのこと、嫌になったはずなのに、いざ目の前に現れて、キスとかされたら、わかんなくなるよ」
「キスしたの?」
「えっ?うん、突然された」
「まさか、それ以上のこと…」
「えっと…記憶が…曖昧に…」
「お前、しっかりしろよ!元彼に求められたからって簡単に…」
「ちょっと声大きいってば!」
無理矢理、スンホの口を手で塞いだ。
自分でも馬鹿だって思ったよ。
でも、嫌って言えなかった。
きっと、ジュンに嫌われたくなかったんだと思う。
目が覚めて、
隣に見慣れた背中があったから、ほんとに泣きそうになった。
幸せだった昔に戻れた気がした。
でもきっと戻らない。
「ごめん、俺言い過ぎたわ」
真顔でスンホが謝るから、焦って気にしてないと笑って返した。
「名無しさんには幸せになってほしいからさ、つい言い過ぎた」
「スンホ、優しいもんね、昔っから」
「いや、そんなことないけど」
「照れちゃって」
「お前、いい加減にしろよ?」
怒られると思ったら、
逆に肩を引き寄せられた。
「名無しさんが笑っててくれてよかった。」
スンホったら、また真面目な声で言うから、
冗談みたく突き放せなかった。
「スンホ、兄さん…?」
「ん?」
「ありがとう」
「なんだよ急に」
「ちょっと、このまま、ぎゅってしててくれる…?」
「お前が嫌になるまでしててやるよ」
君との距離が近すぎて
(心臓が煩く鳴って)
(こんなに大切な人だったなんて)(あたし今まで気付かなかった)
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