ひみつのキスをして?
□君との距離が近すぎて 1
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一人暮らしを始めることにした。
それには、深い理由があるんだけど、まあ、それはいずれ話すことにして。
思いたったら即行動のあたしだから、
仕事の帰りに近所の不動産屋さんに寄ることにした。
(いつも見てはいたけど、いざ行くとなると緊張するな、)
お店に入ると営業スマイルで迎えてくれた店員さん。
「どうぞ、こちらにおかけくだ、」
「えっ、ヤンスンホ!」
「あ、名無しさん?」
まさかの再会。
小さい頃の幼なじみスンホがそこにいた。
きっと会うのなんてスンホが中学卒業して以来。
あの頃のスンホの面影は少し残ってるけど、
びっくりした、
なんだか美男子になってる。
スーツも様になってるし…
「名無しさん、どうしたんだよ」
「えっ、ああ、考え事」
「お前、やっぱり中身は全然変わってないな」
はにかんで笑ったスンホ。
なんだかこっちが恥ずかしくなった。
「部屋探してんの?」
「うん、」
「何か希望はある?」
「うーん、部屋は大きくなくていいけど、きれいで駅まで近くて、日当たり良くて、近くにスーパーあればいいかなあ。緑が多くて、ご近所付き合いとかもできる感じの。あとできれば、家賃があんまり高くないとこがいいです」
「欲張りだな、お前」
「えっ、そうかな…」
スンホは、呆れたように言いながらも、真面目に物件を探してくれている様子で、
昔からの性格は今でも全然変わらないと思ったら、少し安心した。
「名無しさん、せっかく会ったんだし、この後飯食いに行かない?」
「行きたい!スンホのおごりね!」
「なんで俺なんだよ」
「スンホ兄さんお願い!」
「こうゆう時しか兄さんて呼ばないよな、お前」
「兄さん、ね?」
「……わかったよ、仕方ない」
「やった!」
思わず昔みたいにスンホの腕に引っ付いたら、
恥ずかしいからやめろって、顔真っ赤にして怒られた。
「スンホ照れちゃって」
「うっさいな、お前…」
君との距離が近すぎて1
(大人っぽくなった君に、)
(少しだけドキドキしたのは)
(誰にも言わない秘密なんだ。)
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