ひみつのキスをして?

□恋の予感がする
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ジュニョンが、笑ってた。
照れてるみたいに
とってもうれしそうに


きっとわたしがいても
あんなふうに笑わないよね、



そんなの、当たり前か。







そこは、わたしの席だよ。
テーブルのジュニョンの向かいは
わたしがいつもいるところなのに



もう、わからない。
頭の中がごちゃごちゃしてる。










「彼女が、できたんだって」


「うん」


「今日わたしが家帰ったら、彼女みたいな、っていうか、彼女さんがいて」


「うん」


「なんか、どうしたらいいのかわかんなくなって」


「それで泣いてたんだ」



笑顔で、あいさつぐらいできたらよかったのに、

わたしって女は、なんにも言えなかった。

大人げない、そんなのわかってる。



「泣き虫のくせに、よく頑張ったな」


ドゥジュンは、いつの間にか、
わたしの横に座ってて、
背中をさすっていた。


わたしはきっと、
恋してた、わけじゃない。



きっと、2人でいる時間が長すぎて、
わたしじゃない誰かがジュニョンといるのが、理解できなくなってたんだろうと思う。




「ジュニョンに彼女がいようといないと、お前らの関係は一生変わらないだろ?」


「う、ん」


泣いてる自分が嫌で、
ドゥジュンに見えないように顔をそらした。



「名無しさん、泣いても俺は誰にも言わないから、すっきりするまで泣いていいよ」



「ドゥジュンずるい、優しすぎる」


ほら、って腕を広げたドゥジュンの胸に顔を埋める。
体温が伝わってきて、
なんだかさらに涙が溢れてきた。


「よしよし、いい子」


「なんかドゥジュン、うちのお父さんに似てる」


「リアクションに困るな」


「なんか安心するの」


「ドキドキするとかじゃないんだ」


「でも、知ってる?」


「なに?」


「女の人の好きな人のタイプって、お父さんに似てるんだって」


「え?それって名無しさん」


「別にドゥジュンが好きとか言ってな、」


言葉を言い切るか言い切らないかのうちに、触れるだけの短いキスが降ってきた。



「ちょっと…突然なに」


「名無しさん、顔真っ赤」


「違うってば、もう…」



ドゥジュンと冗談言い合ってるうちに、
明日になれば、ちゃんと、
ジュニョンと笑って話せるような気がした。

そうだよ、一生会えないんじゃない。

少し、気持ちが軽くなった。



「名無しさん」


「ん?」



「俺は、ずっと、名無しさんの隣にいるから、心配すんなよ?」


ドゥジュンが急に真面目な顔で言うから、
変な感じがした。

胸が痛くなるような、
息ができなくなるような、



もしかして、これが、



恋の予感がする
(もしかしたら本当に、)
(ドラマみたいに突然はじまるのかもしれない)
















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