MBLAQ

□夏休みの最後くらい
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閉店が近づいたの近所のスーパーで、
お惣菜に割引のシールを貼ってるあいつを見つけた。




「あ、名無しさん!」


「声大きいってば」


だってこんな時間に名無しさんがいるからびっくりしたんだよ、


ミルはわたしの幼なじみで、
小さい頃からの仲なんだけど、
ミルはお馬鹿でいつも騒いでて
ほっんとにうっとうしくて
そんな奴なんだけど、

わたしのことになると、急に、
過保護っていうかなんていうか、
すごい真剣に守ってくれようとする。

そんなことされなくても、
わたしは全然大丈夫なのに。


「どうやって来たの?」

「歩いて」

「こんな時間に女の子が一人で歩いてたら危ないよ」

「べつに大丈夫だから」


「だめ、俺あともう少しであがれるから待ってろよ、絶対!」



こうやって、いつもこんな感じ。

でもこのうっとうしさが、
最近心地よくなってるのも事実なんだけど、
それはあくまでも内緒にして。


お店から家までの道を2人でゆっくり歩く。


「そういえば名無しさん何買ったの?」

「お菓子と花火」

「なにそれ」

「なにそれって」

「俺も同じの買ってた」


ミルは持ってたビニール袋を見せる。
その笑った顔がなんかかわいくて、
ちょっと照れ臭くなった。


「名無しさんと花火したいなって思って」

「あたしも」

「じゃあ決定ね、海でやる?」

「いいね、あたし最近ずっと海行ってないなあ」

「そうなの?じゃあ一緒に泳ぐ?」

「2人で?」

「いいじゃん」

「2人じゃ寂しいし、チョンドゥン呼んで?」

「やだ、名無しさんの水着姿は俺が見る!」

「そんなこと考えてたの?変態!」


呆れて笑ったら、ミルもつられて笑った。



「俺さー、花火する前に名無しさんとしたいことあるんだよね」


ミルが突然歩くのをやめて立ち止まる。



「何?」


顔を上げた瞬間にキスをされた。


一瞬のできごとに言葉がでなくなっているわたしをよそに、
ミルはわたしの手をぎゅっと握って歩きだした。


びっくりしたけど、
でもこのドキドキって違う。
多分、好きな人にキスされたから。

わたしもミルの手を握りかえした。




「花火やったら俺の家来る?」


「いいの?」


「今日親も姉ちゃんもいないんだ」


「えーそうなの?」


「だって名無しさんとしたいことがたくさん…」


「何ニヤニヤしてるの?変態!」


「違うって!誤解だよ名無しさんー」


「冗談だよ、まず海行って花火が先!」



握った手をさらに強く握り直して、
海までの道を走り出した。






夏休みの最後くらい
(素直になって、)
(思い出つくってもいいよね?)












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