寝ていたい

□二
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ルーン文字と秘薬の基礎本を読み漁る毎日


正直、気が滅入る


使用人達は貴族の俺に気安く声は掛けないし

その上
凝固血色の髪
鮮血色の目
大人なみの頭脳

気味悪がって近付きもしない


友達は本だけ
まぁ…社交界も本を読めば大体予想が付く


威張り腐った貴族達の自慢大会だろう



「……飽きた」


一応は、糞当主様に言われた『ウォーター・ウィップ』の練習はしている


本を読みながら部屋で振り回している

最近は、器用に家具を避けて振り回している

鞭の風切り音を効果音に本を読む事に飽きた

























コンコン
「失礼します」
ガチャ


「……貴様か

一体何の用だ?」


三歳児に娯楽も教師も与えないのにその言い草か糞当主様よぉ


「許可を下さい

屋敷の外に出る許可を
金を稼ぐ許可を」

小遣いよこせ!
遊びに行かせろ!!

「ならん
貴様の様な醜い物が外にでてみよ

我が家名が下がる」

「ならば、家名も氏名も名乗りません」


「死なれては困る」


「『ウォーター・ウィップ』は覚えました」

野党位なら逃げられるさ


「…下がれ!!

貴様は金に成る秘薬でも作ってみせよ!!
ならば許してやろう!」


要は面倒だし、貧乏貴族だと

トリステインみたいな家だな


歴史は有るが
金は無い
当主は腐ってる



「はい、失礼致します」



自室に戻って考える

街に出ただけで死ぬ?

内政を怠ってんのか?


「……金に成る秘薬ねぇ?」

知識は本が有る

ああ言ったからには使用人伝えでも材料を強請れば寄越すだろ

幸い俺は水系統のメイジ

調合はお手のものだ


んで、許可を得て旅行にでも行こう

せっかくの二度目の人生だ

魔法の世界だ

観光しなくてどうする


「観光といえば……現地の美人だな」


美容薬でも作るか?




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