彩加のひとしずく(更新中)
□壱
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堂々たる理解不能宣言に、ルーシィが呆れたため息を吐く。まあ無理もないかと苦笑すロキは、結局要点だけ伝われば良いと妥協した。
「悪魔を喚ぶ儀式を、神様を喚ぶ儀式だって偽って噂を流した奴がいるってことさ。悪魔を喚んで使役するなんてソロモン王じゃあるまいし、素人が簡略化した儀式じゃ絶対に失敗して禍がふりかかる」
儀式をアレンジできる知識を持っているなら、その結果を予想できないはずがない。
そう締めくくったロキに、ナツは“生徒を騙して悪魔を出させるヒデェヤツがいる”とだけ理解した。
「つっても悪魔なんてほんとにいんのか? それにグレイが関係してるってのもわかんねぇし」
ナツの疑問に、ロキは少しだけ不思議な顔をした。痛いような笑いたいような顔をすぐにいつもの涼しげなものに戻し、「さあね」とだけ答えた。
それきり沈黙する姿勢を示したロキから引き継ぎ、ルーシィがようやくナツの気になっている本題に触れてくれた。
「学園の近くでグレイに似てる生徒が目撃されたって話は、全然確証もないの。黒髪黒目なんていくらでもいるし、夜中じゃ余計にわかんないわ。でもね、一つだけグレイを疑う理由があるの」
「理由?」
「三人目の失踪者、ケニーが喫茶店でグレイと話してるのをマスターが覚えてたの」
それもケニーが、リチャードゲームを行い姿を眩ませる、つい一時間前に。
もし三人がただの家出だったらいい。だがもし、本当にその儀式が原因だとしたら。
「グレイがもし、リチャードゲームをする前の生徒に接触していたとしたら?」
それはどんな目的で、なにをしているのか。
調べる価値はあるわ。形の良い唇でそう言い切ったルーシィに、ナツの胸の中がざわめいた。
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