短編

□みるくてぃー
1ページ/5ページ




 甘くて冷たい、おいしいお茶は、好きですか。


〈みるくてぃー〉



 ロキはなんとも言えない気持ちで、カウンターに座るグレイを見ていた。

 グレイはなんでもないような顔で、黙々と手を動かしている。

 正確には、紅茶の入ったコップに、白いなにかを投入し続けているのだ。


「ねぇグレイ。聞くの怖いけど……それ、砂糖何個め?」

「八」

「う……」


 ロキは聞いただけで胸やけが起こり、口に手を当てた。

 グレイはそんなロキに一瞥もくれず、また新しい四角の砂糖を紅茶に落とす。

 しかも今度はミルクまで注ぐ始末だ。あのコップの中は、未知の領域に違いない。


「グレイって……そんなに甘党だった?」

「さぁな」


 ぐるぐるしゃりしゃり。スプーンでかき回されるミルクティー。明らかに砂糖は溶けていない。

 アイスティーにシロップではなく角砂糖を使っている時点で、当たり前といえば当たり前だが。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ