single story
□world's nook
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どれくらい時間がたったのかわからないけど、小さくコン、という音がした
ドアをノックした音だ
(…誰だろ)
コムイさんかな、いや、なら通信が入るはずだし任務なら急ぎだろう
そんなに大事な用事ではないと思った僕は、失礼だろうけど居留守をきめた
すると、カチャリ、と鍵が開く音がした
(…うそ)
僕の部屋の鍵を持っている人なんてコムイさんと、あとは、
(ま、さか)
ギィ、と扉が小さく鳴って誰かが近付いてくるのがわかった
「…モヤシ?」
僕を覆っていたシーツを少しめくりながら聞こえた声は確かに彼のもので
「か、んだ…?」
「起きてるなら、返事しろよな」
優しく前髪をすく大きな手の感触で夢ではないのだとわかった
「任務は…?」
「終わらせたからここにいるんだろ」
小さく笑う彼を見たら、抑え込んだ気持ちが一気に溢れだした
手を伸ばせば彼は前屈みになり、僕の手を首の後ろに回させる
「おかえりなさい…」
強く彼に抱きつけば彼の腕も背中に回り、抱きしめ返してくれた
「…ただいま」
「会いたかった…」
世界のすみっこ(君がいればそれは僕の世界の中心なんだ)
→アトガキ