ショート

□起きるまでいろ
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「あれ、起きたんだ、まだお昼前だよ?」
「目がさめた」

それでも目はトロンとしておりまだ眠たそうだ。朝方まで激しく行為していたので目が覚めるのは昼を過ぎてからだと予想していた。いつもそうだったから。
「まだ寝てていいのに、せっかく休みなんだからさ」
「あのベッドに1人だと寒くて眠られねえ」
ボサボサの頭のままキッチンへ向かい冷蔵庫から牛乳を取り出した。コップに入れることなくパックのまま飲むのは静雄の癖だ。コップに注いで飲むよう何度も注意してもそのまま飲むため、今は臨也は何も言わなくなった。その姿を見ながら臨也はポカンと口をあけ動きが止まった。
「…ねえ、シズちゃん、自惚れてもいいのかな」
「あ?何がだ?」
「それってさ、」


俺がいるから安心して眠れるってこと?



「っ!」
飲んでいた牛乳が口から吹き出た。
咳き込む静雄に臨也は駆け寄り背中を擦る。ティッシュを片手に口の周りを拭いてやる。
「なに、ばかなこと言って…!」
「だって俺にはそう聞こえたんだもん。そんなに焦るってことは図星だったりして?」
「変に解釈すんじゃねえ!俺はただいつも毛布使ってたから慣れなくてって意味でっ」
「無理して理由つけなくて大丈夫だから、次からは起きるまで傍にいてあげるからさ」
頬に口付け寝癖のついた頭を撫でてやる。静雄はこの行為に弱いのを知っているからだ。いつまで経っても慣れない静雄、気まずそうにそっぽを向いてしまった。
「シズちゃんこっち向いてよ、せっかく一緒にいるのにシズちゃんの顔見れないの寂しい」
「手前が、変なこと言うから…」
「ごめんってば、俺シズちゃんラブだからつい言っちゃったんだ、勝手な妄想してごめんね?」
「…もういい」
意外にもすんなり許してくれた、案外的外れでもなかったのかもしれない。
「朝ごはんどうする?ホットケーキならすぐに作れるけど?」
「食べる」
即答する静雄、機嫌は直ったようだ。
「すぐ準備するね」
頭を撫でキッチンへ立とうとする、すると服の袖を引っ張られた。
「どうかした?」
「…ホットケーキ」
「? うん」
「一緒に、食うからな」
「…うん、ありがと」
臨也はわかっていた。静雄は怒ってなどいない、ただ感情表現が苦手だから素直に言えない。
静雄の口から正直な言葉が出るのはいつのことやら。





起きるまでいろ




「やっぱり俺がいないと寝れないでしょ?」
(しつこい…)















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