…薄桜鬼長編…
□*トリップした先には.3*文久四年
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「――副長」
部屋の外から声が掛かる。斎藤だ。
「…入れ」
「雪村とれいらの様子はどうだ?」
「変わり無し、です。
平助が今監視しています」
茶を頼み、ついでに二人の様子を見てきて貰った。
「では、失礼します」
「あぁ、忙しいとこすまねぇな」
多忙な斎藤はさっさと部屋を出て行ってしまった。
と、言っても多忙にさせているのは俺なんだが…。
れいらが倒れてから幹部連中の様子がおかしい事もあり、慎重になっている隊務は斎藤に任せっきりだった。
三馬鹿はやはりれいらを気にしてどこか上の空。
総司も何だかいつもと調子が違い、雪村にきつく当たっているように思える。
斎藤は…大丈夫だろうと思っていたが――
「ぶはっ………
何だこの茶は!?」
斎藤にも少なからず異変があったようだ。
茶を一口飲んでみれば、かなり渋い。
何だこの雰囲気は…
小娘一人いねぇだけで崩れちまうのかよ。
泣く子も黙る新選組が……。
呆れて笑いが込み上げてきた。
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