…薄桜鬼長編…
□*ﾄﾘｯﾌﾟした先には.1*文久三年
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毎日夜中まで遊び呆けていて､家に帰るまでは楽しかった。
不良とも呼べる生活をしていた高校1年の終わり｡
私は妊娠した｡
お腹が大きくなるに連れて､授業で黙って座っている事が難しくなりトイレには頻繁に行きたくなったし､立ち仕事のバイトも楽しかった遊びも辛くなった｡
無関心だった両親の目も誤魔化せなくなり､もともと両親との関わりも薄く､ダメ人間のレッテルを貼られていた私｡
世間体を気にする親で､休学はお金の無駄だとか‥
結論から言えば､『家を出て男と子供と暮らせば良い』と縁を切るような形で実家と別れ､産む事を決めて退学したのだ。
全く知らない土地で
新たに誕生する子供とずっと好きだった男と3人で幸せな生活を夢見ていた矢先―――
籍を入れたばかりの夫の浮気が発覚｡
ストレスや泣く事はお腹の子供に悪い､と思いつつなんとかいつも通りの生活を心掛けた。
8月のはじめ､予定日よりだいぶ早かったが出産。
生まれた我が子は約2000グラムと小さめだったし､心臓に疾患があった｡
毎日保育器の中で過ごし沢山の線を繋がれながら頑張って生きていた。
だが,この世に生まれてたった2週間で私の手から去った。
抱っこ出来たのは片手で数える程かもしれない｡
母乳も与える事なく､おむつを替える事なく私の母親としての生活は終わった｡
そして夫となった男もまた別の女と子供ができた事実を隠し離婚届を突きつけてきた。
『子供はもういないんだし､一緒にいる意味ない』と｡
もう絶望的だった｡
妻としての生活も終わった｡
すべてを捨ててでも
大好きな男と子供と幸せな家庭を作って幸せに暮らしたかっただけ｡
"自分で作った家族"と幸せになりたかっただけ｡
あたたかい家族がほしかっただけなのに｡
大好きなのはあなた一人だったの｡
どうして浮気したの?
子供はできてない､って嘘ついたけど‥‥
あなたの親から私の携帯に電話がきたんだ｡
―――あなたみたいな方じゃなくてもっとしっかりとした人と結婚するから
―――子供？
あぁ､生きていてくれたらあなたの事､お嫁さんとして認めようと思ったけれど...
子供もﾏﾄﾓに生めないんじゃ..ねぇ？
子供はﾏﾄﾓに生めないわ
高校も中退してるわ
家にも帰れないわ
ダメなとこばっかり｡
しかもまだ未成年｡
世間からみたらまだ子供だ｡
これからどこに住む?
知らない土地で住める?
働ける場所は?
すべてが片付き､元夫が手切れ金なのか慰謝料なのか､置いていった100万円｡
とりあえず職探しに‥と前を向こう､と決めた17の9月の事だった。
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