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□ラブレターに意味は無い。◎
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「なんか最近俺さぁ。女子に若干引かれてる気がするんだよなぁ。ラブレターも減ってきてるし。」



お前、俺のラブレター取ってない?なんて意味の分からんことを電車の中でしかも携帯を弄りながら。




「何で私があんたのラブレター取らなきゃいけないのよ。」

「え、そりゃあれだろ。嫉妬だろ?」





隣に座る涼介の肩を無言で一発。





…まぁ、女子から引かれたりラブレター減ったりしてるのは確かに私のせいだと考えられる。







「…凜、お前何か知ってんだろ。」



目を細めた涼介の視線を横から感じる。


「えー、何でー?」

「顔が笑ってんだよ、顔が。」



大丈夫だよ、私はいつでも涼介の味方だからさ。と肩をポンッと叩いて変なごまかしをしてみたら頭をしばかれた。








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次の日の放課後。





「あの……涼介くんにこれ渡してほしいんだけど…」

と、手渡されたのは3人の女の子たちからの3通のラブレター。





「あー…」



出たよ。

自分で渡せばいいものをどうしてわざわざ私に頼みに来るのか。


人気者の幼馴染やってるのも楽じゃない。





最初のうちは、はいはい、なんて言って大人しく頼まれていたけど、よくよく考えたらおかしくないか。

何が嬉しくて幼馴染のラブレターを届けなくちゃならないんだ。



…という訳で、最近は少し意地悪を加えてみる。



涼介の悩みの原因は完全にここに起因してるんだと思う。









「…本当に涼介なんかでいいの?」

「え…?」



目を真ん丸くさせる彼女たちに畳み掛けた。





「涼介って実はねー…マザコンなんだよ。家に帰ったらいっつもママー、ママーって…」

「…う、嘘……、」



明らかに引きまくっている女の子たち。





…いや、普通に嘘ですけど。

こうして嘘の情報を流すことで私の面倒くさい仕事を減らしている訳だ。






「しかもね………」









「はい、ストップ。……凜。」









後ろから聞こえたのは、振り向かなくても分かる。


怒った時の、いつもよりトーンの低い涼介の声だ。











「あー…ばれちゃった…。」








溜め息を吐いた途端、肩にずっしりと体重が掛けられた。






「なーに好き勝手言ってくれてんだよ。

絶対おかしいと思ったんだよなー。」

「えー、何のことかなー?」

「まだしらばっくれる気なの?

………あ。」




と、ここでラブレターを持ち唖然と立っている3人に目を向けた涼介。



その時、涼介がにやり、と笑った。



…私はこの微笑みを知っている。

長年幼馴染をやってきて、こいつのこの微笑みの後にいい事が起こった試しがない。








「ごめんね、こいつが何か変な事言っちゃってたみたいで。」



…だけど。と言って、何かと思えば後ろから首に手を回された。



振り向こうとしたけどその必要はなかった。



だって、私の顔の真横に涼介の顔があったから。

涼介の跳ねた毛先が首元に当たってくすぐったい。




すると、クイッと回した手に力を入れた。










「俺、こいつの彼氏なんだよね。」






「……え。」


声を出したのは3人ではなく私。

しかもそんなに声が出なかったのは、予想外の展開に頭がちゃんとついて行かなかったから。






「だから、ごめんね。俺、この手紙は受け取れない。」





恥ずかしそうに、だけど確実に私を睨み付けながら去って行った3人を見て涼介が一言。





「女って大変だね。」

「涼介のせいだ……」

「元はと言えば凜が皆に嘘教えるからでしょ。」




言い返す言葉が見つからず、代わりに涼介から一歩距離をとる。



すると、涼介が私の髪をくしゃっと撫でた。







「…ふは。これでお互い様だねー。」


って言ってふわり、と笑ったあんたにちょっとドキッてしたなんてことは誰にも言わない。









ラブレターに意味は無い




「あの…この手紙を……」

「ま、また!?…何でいつも皆私に頼んでくるの!?」

「それは……、」










(俺は凜から貰った手紙しか受け取らない。)




--END--


イミフな方ーp(^-^)q!とりあえずシンプルに結論を言うなら、涼介くんは幼なじみの事が好きなんですねヽ(^^)ってことなんですね、はい。




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