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□ぶきっちょガール。
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『…涼介、…ー』

【うわっ、……びびったー…、。】





長かった1日が終わり、マフラーに顔をうずめて家路に着けば、門の前にしゃがみ込んでいる人影が。











【……ー凜…、?】

『…長年の幼なじみなのに確信持って声掛けてくれないとかなんかヘコむー。』



見覚えのある人影に話しかけた結果この返しときた。


…ここ、俺ん家なんだよ。








【……何してんの…、。】

『何って…座ってんのよ。』



【…何で?】

『今仕事帰り?』



【…………、まぁ、。】




どうして、こいつとはいつもこう上手く話が噛み合わないのだろう。

まともな会話が成り立たない。










【……用件、何だよ。】

『配達。』

【……何、。】

『毎日遅帰りしてる忙しそうな涼介くんに私からのお届け物なのだ。』












………………。













【…遠慮。】


こいつからのプレゼントなんて、ろくなもんじゃないに決まってる。






『おい、こら。私直筆の手紙だぞ。

受け取るぐらいしなさいよ。』




そう言って無理矢理俺の手に小さな封筒を押し込めて、

横に止めてあったのであろう自転車に跨がり、足早に去っていった。









【…気ぃ付けて帰れよー、…。】


すでに姿の見えなくなった暗闇に囁いた。





【…手紙?………、。だな、これは。】


俺の手に残された小さなピンクの封筒。



ガサガサと俺なりに丁寧に封を開ける。

中から出てきたのは、一枚のメモだった。














"お誕生日おめでとう

仕事、頑張って"














【ふは、…何だよ、これ。】


俺の名前も自分の名前も書かれていないたった二行だけの手紙。


あまりにも凜らしすぎるその手紙に、俺の顔がほころんだ。




【ふっ、…きったねー字、。】

その文字をそっと指でなぞる。







【…これのためにこんな寒い中ー……、】




空を見上げれば、いつの間にやら雪が降り始めていた。








【…ほんと不器用な奴だよ、。】



俺はもう一度、視線を下に落とした。



























ぶっきっちょガール。


女子からもらったプレゼントの中で一番嬉しかったかも、



…なんてことは本人には言わないけどね。









--END--

model:八乙女光


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