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□一番近くて一番遠い。
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『ちょっと涼介~ー…。』
放課後。
涼介は机に突っ伏してぐーすか寝ていた。
一度眠りに就いた涼介を起こすのは簡単なことではないことは知ってる。
でも、委員長会議があるからちょっと教室で待っててね、なんて会話をしたのはほんの数十分前の話。
この短い時間の間に寝るか、普通。
頭をポンポンと叩いてみる。
……ーこんなことができるのも、幼馴染だからー…。
別に付き合ってるわけじゃない。
第一、涼介には彼女がいるわけで。
だったらあたしなんかとじゃなくて彼女と帰れよ、とは思うけど言ったことはない。
だって、その時間があたしにとっての幸せな時間だから。
無防備な寝顔を見せる涼介の頬にそっと手を当てる。
『こんなに近くに居るのに、一番はあたしじゃないんだよね…、。』
【んっ、……、】
『あ、やばっ、』
涼介の頬がピクッと動いた。
慌てて手を引っ込め、一歩下がって見つめる。
【……、…好き、…】
『っっ、………っ、…寝言ー…、』
あたしに向けられた言葉なんかじゃない。
だけど今だけは。
今だけはその言葉、あたしだけのものにさせて下さい。
一番近くて一番遠い。
幼なじみなんかじゃなかったら、何か変わってたのかな、
--END--
model:高木雄也
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