short

□出会いは唐突に。
1ページ/1ページ


『あ…、あのっー…っ、』





凜と初めて出会った日。

第一印象は、なんだこいつ、だった。










________......














【…………何。】


歩いていたところを、後ろから急に誰かに手を掴まれた。








またかよ、


そう思った。







自分で言うのも何だけど、仕事柄上、俺のファンも少なくはないわけで。


そう。



こうやって、プライベートにまで足を踏み入れてくるような人たちも皆、俺のファン。








【…何?悪いんだけど、今はプライベートなんだよね。】



そして、そういう人たちには感情を付けないで話すのが俺流。



相手の女の子はと言えば、大きな瞳をさらに大きく広げ、俺を見つめていた。








【…とりあえず、手、離そうか。】




すると女の子は、あ。すいません。なんて言ってパッと手を離した。



俺は、わざとらしく溜め息を一つ吐いた。




どうして俺が溜め息を吐いたのか分からなかったらしく、きょとんと俺を見つめていた。








【…そんなに見られても困る。っていうか、プライベートまで追い掛けてこないで。】





しかし、その言葉を合図に、女の子の顔はみるみる不機嫌になっていった。













……なんなんだよ、。扱いづらい。












【…何、なんか言いたいことあるの?】














『……、によー……、』

【っは?、】












『…何よ、バカじゃないの?何で私が用もないのにアンタなんかに声掛けんの。自惚れんな、。』


【んなっ、】












今度は、俺が溜め息を吐かれる番だった。







『あ~、無駄な時間過ごした。こんな物拾わなきゃよかった。』

【………は、?】





『…今度から気を付けなね、』






彼女の手から俺へ放られたのは、どこからどう見ても俺の財布で。




【これ……】




今の事態を理解すればするほど俺の血の気がさぁぁぁっと引いた。






『そこの曲がり角で落としたよ、。』

【あ…。…ありがt『なのに罵声で返されるとはね~。やってらんない。』



【ごめん…。てっきり、しつこいファンの子かと思って……、】


『…私もちょっと言い過ぎた、……』




【さっきの“自惚れんな。”はけっこう効いた、。】

『そこは事実だから問題なし。』



【……………。】







______.....




これが、凜と俺の出会い。





______.....






【ふは、】

『…何、急に笑い出して気持ち悪い。』

【いや、凜と俺が初めて会った日のこと思い出してた。】



『…………。』



【あれから、もう2年が経つんだなぁって。】

『…だね、。あの時は、一発ぶん殴ってやろうかと思った。』


【……………。】



















出会いは唐突に。


きっと運命だったんだね、俺達。






--END--

mosel:有岡大貴


感想をお願いします!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ