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□出会いは唐突に。
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『あ…、あのっー…っ、』
凜と初めて出会った日。
第一印象は、なんだこいつ、だった。
________......
【…………何。】
歩いていたところを、後ろから急に誰かに手を掴まれた。
またかよ、
そう思った。
自分で言うのも何だけど、仕事柄上、俺のファンも少なくはないわけで。
そう。
こうやって、プライベートにまで足を踏み入れてくるような人たちも皆、俺のファン。
【…何?悪いんだけど、今はプライベートなんだよね。】
そして、そういう人たちには感情を付けないで話すのが俺流。
相手の女の子はと言えば、大きな瞳をさらに大きく広げ、俺を見つめていた。
【…とりあえず、手、離そうか。】
すると女の子は、あ。すいません。なんて言ってパッと手を離した。
俺は、わざとらしく溜め息を一つ吐いた。
どうして俺が溜め息を吐いたのか分からなかったらしく、きょとんと俺を見つめていた。
【…そんなに見られても困る。っていうか、プライベートまで追い掛けてこないで。】
しかし、その言葉を合図に、女の子の顔はみるみる不機嫌になっていった。
……なんなんだよ、。扱いづらい。
【…何、なんか言いたいことあるの?】
『……、によー……、』
【っは?、】
『…何よ、バカじゃないの?何で私が用もないのにアンタなんかに声掛けんの。自惚れんな、。』
【んなっ、】
今度は、俺が溜め息を吐かれる番だった。
『あ~、無駄な時間過ごした。こんな物拾わなきゃよかった。』
【………は、?】
『…今度から気を付けなね、』
彼女の手から俺へ放られたのは、どこからどう見ても俺の財布で。
【これ……】
今の事態を理解すればするほど俺の血の気がさぁぁぁっと引いた。
『そこの曲がり角で落としたよ、。』
【あ…。…ありがt『なのに罵声で返されるとはね~。やってらんない。』
【ごめん…。てっきり、しつこいファンの子かと思って……、】
『…私もちょっと言い過ぎた、……』
【さっきの“自惚れんな。”はけっこう効いた、。】
『そこは事実だから問題なし。』
【……………。】
______.....
これが、凜と俺の出会い。
______.....
【ふは、】
『…何、急に笑い出して気持ち悪い。』
【いや、凜と俺が初めて会った日のこと思い出してた。】
『…………。』
【あれから、もう2年が経つんだなぁって。】
『…だね、。あの時は、一発ぶん殴ってやろうかと思った。』
【……………。】
出会いは唐突に。
きっと運命だったんだね、俺達。
--END--
mosel:有岡大貴
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