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□スマイルをひとつ。
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『いらっしゃいま……、…あ。』
俺だと認識した瞬間の凜の驚いた顔にふふ、と笑みがこぼれた。
バイト先には来ないでとは言われたものの、
そんなものが俺の好奇心に勝つはずもない。
『…ご注文は、』
あくまで普通の接客を続けるつもりらしい。
【…ふは、】
対して怖くもない睨みをかます凜に
笑いを堪えてなんでもないよ、と言ってのける。
拗ねた顔が可愛いからだよ、なんて本音を言ったら
もっと可愛い反応が見れたんだろうけど。
『……注文。』
再度俺に注文を促してくる。
超ウルトラ素っ気ない態度で。
【……じゃぁ…、】
俺はメニュー表に目を通し、そしてビシッと指で指し示す。
【スマイルひとつ♪】
『………、スペシャルバーガーセット3つで。』
【はっ!?おま、っ……、】
……一番高いやつ言いやがった。
しかも3つとか……誰が食べるんだよ。
【…3つとも持ち帰り用で。】
よし。家でコイツにも食べさせよう。
『ありがとうございました。』
してやったりな顔で笑う凜を目尻に、俺は店を出た。
スペシャルバーガーセット3つを持って。
スマイルをひとつ。
(メニュー表に書いてあるじゃん、スマイル。)
バカ、あーゆうのは罰ゲームとして使われるんだよ。
本気で頼む奴がどこにいる。
--END--
model:高木雄也
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