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□偶然の出会い。
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ガタン、ゴトン、と揺らされながら通学する毎日。


その揺れに抵抗するでもなく、揺れるがままに身を任せる。


だけど、今日だけは違った。



何か理由があってなのか、ガタンゴトンと揺らされる余裕もないくらいの満員電車。



おじさま臭に囲まれた私は、身動きも取れず、
気をつけの姿勢で目的地に着くのを、まだかまだかと待つ。


























…キキィィィーっ、





とその時、急ブレーキが踏まれた。







『ぁっ、!!』







これが慣性の法則か、なんて呑気なコトを思ったのも束の間。


予想以上に平衡感覚が保てなくなり、前に倒れ込んでいってしまう。











…うわ、やばい。
このままいったら確実におっさんに突っ込んじゃう。











覚悟を決めて目をギュッと瞑った時だった。





















…クイッっ、…




『うわっ、…っ、!?』






私は、誰かに後ろから襟首を掴まれ、間一髪のところで元の位置に引き戻された。











すごい力の持ち主だ…、






パッと後ろを振り返り相手を確認する。

















【…ふは、危なかったね。】




そこには、なんとも爽やかな男子生徒が立っていた。






【急に掴んじゃってごめんね?

急にキミが前のおっさん達に突っ込んでったからさ、】





そう言いながら、さっき自分の掴んだ部分を丁寧に整える。









彼のあまりの爽やかさに、私は首をフルフルと横に振るコトしかできなかった。
























~まもなく○○駅です~




車内放送が流れる。





【俺、ここだから。

足、ちょっと開いて立ってた方が倒れにくいよ。】





そう言い残し、少し意地悪そうに笑って電車から降りていった。


















発車しても尚、私の頭は機能完全停止状態。






この世の中にまだあんなにも優しい男が存在してたなんて、
人生、捨てたもんじゃないな、
なんて全く訳の分からないコトを思ってみる。





















あ…、お礼言えてない。





『まぁいいか、』






また次会える口実になんじゃん、






















…なんだ、これは
恋の予感?




ないないそんなのありえない、
なんて自己否定しておきながらも
ホントは気付いてる。

自分のホントのキモチ。



















明日もこの電車、乗るのかな、



























偶然の出会い


(今日電車でね、)

(おっさんに突っ込みそうになってた
可愛い子助けたんだ。)





(明日も同じ電車に乗ろうかな、)











--END--

model:有岡大貴




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