shortstory
□好奇心の恋
1ページ/1ページ
好奇心と言ったら、嘘になるでしょう。
初めから好奇心ではないと、気付いていたのかもしれません。
俺と景吾が付き合い初めて…1年と少しが経過した。
その日、俺は景吾に好きと言った。
勿論好奇心だった。
けれど、景吾はそれを拒みもせず、それを受け止め、付き合う事になった。
その瞬間、何かが芽生えたのかもしれない。
「あぁ、待たせたな」
「待ってへんよ」
合言葉のようになった会話。
そうなるのも可笑しくない。
なにせ、あの生徒人数の多い氷帝学園の生徒会長だ。
「少し長引いてな…」
「気にしてへん」
気にしてないと言っても、時には2時間も待つ時もある。
けれど、待ってないと景吾を困らせない為に嘘をつく。
でも、そこまでして貴方を…。
最初は好奇心だっのに…。
まるで魔法のように虜になって、堕ちていった。
「そうか?」
「景吾は自分の事だけ考えたらええんや、俺は気にせんで?」
そんな女々しい言葉も、答えを求める問いも、あの日言った言葉も、
今では、好奇心ではなかったのかもしれない。
「普通、お前の事を気にすんだろ」
「そんなワケ…」
言葉の途中で、はじめて貴方と俺の唇が重なって
ああ、俺は貴方が『好き』なのだ。
と、俺は実感した。
end
****
一年かかって漸く気付く侑ちゃん
2011*0903