☆新庭
□03
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「六式波動球…」
「妙技、綱渡り…どう天才的?」
「神隠し、ばいね。」
「飯匙倩(ハブ)!」
「…」
リョーマと松平の対決をきっかけに、中学生と高校生がぶつかる。
四天宝寺の石田、立海のブン太、四天宝寺の千歳、比嘉の平古場、星徳の蔵兎座…
勝ちあがっていく中学生に、高校生にも焦りが表れる。
吹っ飛ばされた高校生達の怪我を治療して、中学生の方に戻ると長太郎が平理と天神に自分がとったボールを分けたところだった。
「…すまねえ、いいのか?ありがとな。」
「い、いえ…」
『長太郎…』
「バカヤロウ!敵に塩を送ってんじゃねーよ!」
「朔先輩、宍戸さん…」
「ったく、ちょいダサだぜ。」
ため息混じりに亮が呟いた言葉に、あたしと長太郎は顔を合わせる。
すると、隣にいた比呂士がコホンと口元にこぶしを寄せてワザとらしく咳をする。
「宍戸くん。次はそれを流行らせようとしていますね?ねえ、仁王くん?」
「プピーナ…」
『雅治重い。あと、お前もか。』
ぐいーと後ろから抱きつく形で体重をかけてくる雅治の口からも、はじめて聞く言葉。
というか、いったいどういう意味が込められているのか、謎である。
目をコートに向けると、そこで打ち合っているのは皇帝:弦一郎と佐々部。
「動くこと雷霆の如し。」
「どいつも中坊(ガキ)相手によっ!この佐々部様がウジ虫共を退治してやんよ!」
『…駄目だね、何にも判っちゃいない。』
振ったラケットは間違いなくボールを捕らえた、しかしボールはガットを意図も簡単に突き破る。
焼き切れたようにガットに大きな穴が開く。
開けた本人は嫌に似合うほど悪い顔で、佐々部を見下ろす。
「どうした?ラケットに穴があいてるぞ。」
『さーて、そろそろ…』
「相手の力量も測れず戦うとは浅はかですね。」
おおおっと盛り上がる中学生側も、ざわつき始めていた高校生側も、割って入ってきた声に口を閉じる。
高校生のその後ろ、同じ選抜ジャージを着た別格の3人がそこに立つ。
天パの彼に続いて、がっしりとした大柄の男が一歩前に出て声を張る。
「見苦しいぜ!もうボールを取れなかった奴等は帰んな!これ以上醜態を曝すなよ!」
「ア、アニキ……っ…!」
「ええーーーっみんな帰ってもうた!?待ちぃや、やろーで兄ちゃんら!?」
佐々部もそれを聞いて、自分のラケバを肩に掛けて走り去っていく。
そして諦め悪く残っていた高校生は、全員がコートに背を向けて出て行く。
まだ試合をしていなかったヒョウ柄の少年は声をかけるが、誰も振り返ることはない。
そしてコートに3人が下りてきて、こちらに近づく。
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