☆新庭

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黒部コーチはそのままモニタールームへと颯爽と戻っていった。

最後のボールを手に収めたのは、青学のスーパールーキー。越前リョーマ。

両腕を柵につけて、腰を曲げて寄りかかるようにして頬杖をついてリョーマを見つめる。




「“ちぃーす”じゃねぇよ。突然居なくなりやがって!」

「…く、苦しいッス。桃先輩…」

「おチビぃ――っ!」

「い、痛いッス…英二先輩。」

『…どうやら、蟠りはなさそうだ。』




桃城が直ぐにリョーマの後ろに立って、軽く首を絞めるように腕を回す。

その拘束から解かれると、次は英二に帽子の上から頭をチョップされてぺけぺけされている。

その様子にあの後から彼等は元に戻れたんだと思っていいんだろう。

リョーマを心配する大石、リョーマのデータを取る乾、歓迎する河村。以前と変わらない青学レギュラー陣。




「…相変わらずッスね、先輩達。」




そう言ったリョーマの顔は相変わらず彼も彼で変わらないけど、その口元は上がっているから。

体制を立て直して、手すりに手を掛けて地面を蹴り飛び降りてコートへと近づく。




「ゴラァ〜〜〜ッ!中学生共(クソガキども)っ!1人で何個もボール取ってんじゃねーよ!」




騒ぎ出したのは今時品の無い中途半端なリーゼントの11番コート、佐々部。

その言葉に少なからずあたしは目を細めて佐々部を睨むように見るが、見つかっていないよう。

どちらにしろ、彼はこのルールが判っていないようだ。




「そーいや侑士…さっき朔はボール取れなかった人は帰れって言ってたよな?」

「岳人…声デカいでぇ。」

「ひゃっひゃぁーっ、残念!ちゃっちゃと帰っちゃって下さいよ!」




そう、これはボールが取れるか、取れないか。46名とは言ったが、ひとり1球とは一言も言っていない。

逆に、それだけの数を他人が狙ってるにも拘らず集めたという事。

それは、ラケットコントロールにしろ洞察力にしろ、瞬発力にしろ…秀でてる事を意味する。




『中学生50名を含む296名中、半数近くボールを取れていない…か。』

「「「!」」」

『それが…すべて高校生。でもね、もう決まったことなんですよ、高校生(弱者)さん。』




にっこりと笑う。

その笑みは消して他人の笑みを誘うものではなく、拒絶の笑み。











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