じれんま

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I・H予選1回戦、vs 新協学園。パパの身長手足のリーチに苦戦すると思われたが、火神の飛躍による活躍で勝利。67対79。
続く2回戦、vs 実善高校。黒子はベンチのまま火神と2年生、特に日向の活躍により圧勝。118対51。
そして3回戦、vs 金賀高校。昨年東京都ベスト16、攻守共にバランスの取れた強豪校だが…、



「順調…かも…。」
『…ですね。』



目の前のコートを目に映しながらカントクが零した呟きに、私も同意するように頷く。
ガコンとリングの鈍い音が響き、また火神くんのダンクが気持ちいいくらいに決まった。
テツはこの2試合温存と言う形で試合にまともに出ていない。
ピーーと審判の笛の音と共に試合が終了する。スコアは、71対92。
ふと、テツが足を揺らしているのを見て、苦笑しながら当然かと思う。



「黒子、君…?」
「いや…、ちょっとムズムズするだけです。」
「(うっわ、出たそー!)」


ちゃっかり試合に出たいアピールをする黒子に、リコは少しの共にそれくらいあってなんぼかと苦笑を零した。


**********

そして、I・H予選4回戦当日。
試合会場である場所についた1年は、物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回した。


「広ぇー…。」
「ここ本当に学校の体育館スか?」
「都内有数のマンモス校だからね。おかげで今日はいいもん見れるわよ。」
「いいもん?」



今日の体育館は今までの場所より2倍以上に広く、バスケのコートが2コートも揃っている。
実はいつもは貸し出さないこの学校の体育館が使われるようになったのには理由があるのだが、それは別の話だ。
リコのいいもん、発言に特に思いつくことがなかった降旗たちは繰り返すように呟き、首を傾げる。



「決勝リーグを経て選ばれる東京都の代表3校は、ここ10年ずっと同じ。わかるか?」
『…東の王者、秀徳。西の王者、泉真館。北の王者、正邦。ですよね。』
「そうだ。力が拮抗していて毎年1位は変わるが、4位以下は寄せ付けない。東京不動の3大王者だ。」
「それといいもんはどういう関係が?」
「最後まで話を聞け。基本他の体育館で行われる反対側のトーナメントのシード戦が、今日この体育館のもうひとつのコートでやるんだよ。」
「反対側のシード戦?」



リコの言葉の補足をするように、日向が少し重い口を開いて説明をした。
1年は、言われたとおりトーナメント表を開き、自分達とは反対側のシードを改めて見る。
そこに載っている学校の名前とさっきの話までを組み合わせる。



「東の王者、秀徳が来る!?」
「そういうことだ。次の5回戦を勝ち抜き準決勝へ進み、さらに決勝その決勝で俺たちがぶつかる相手は恐らく、“キセキの世代”緑間真太郎が加入した秀徳高校だ。」
「けど、…先輩たちも去年決勝リーグまで行ったんですよね!?」

「…まあ…、手も足も出なかったんだけどな。」



降旗の質問には、日向先輩も少し間をおいてそれだけ呟いた。
周りの先輩達も、その事については何も触れずそっと目線を落としていた。

(先輩達も決して弱くない。そうでなければ決勝リーグまで勝ち進めない。だけど、去年は…。)

目を閉じれば、息抜きもかねて見に行っていたI・Hの試合が思い出されぐっと唇を噛み締めた。
それ以上に3大王者の壁は厚く、そして先輩達のコンディションも最悪だったのだ。











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