じれんま

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「それではこれから、誠凛高校対、海常高校の練習試合を始めます」



審判の生徒の合図と共に、両チームがぞろぞろと整列を始める。
こちらのスタンディングメンバーは、二年が三人、一年が二人。無論、一年は火神と黒子だ。
相手のスタメンもユニフォームに身を包み、誠凜と向かい合うように一列に並んだ。
いつもの如くと言うか、初めて黒子に会うものには気付いて貰えず5人並んでいることを示すのにも驚かれる始末。
もう慣れたものだが、武内は影の薄い黒子をなめた様に呟くが、それを黄瀬は含み笑いで遠まわしに否定した。



「あいたたたー、これはちょいとヤバいかも…。」
「監督…?どした?」
「(服の上からじゃ全部は見えないけど…軒並み数値高っけえ…!)」
『(流石、体格いい。フィジカルは完全に誠凜の負けだ。)』
「(こっちは黒子君と火神君がいるとはいえ…、あの二人の力がどこまで通用するか…。)」



相田はベンチに座り、前かがみになりながら膝に肘をついて手を顎に添えつつコートを見る。
正確にはその中の海常レギュラーを見て、眉を顰めて考察する。
同じく誠凜のベンチには居ながら座る事は無く、その横に立って腕を組みながら試合を見守る。
フードの奥で、彼女の色素の薄い灰色の右目が鋭く光った。
ピッと短い笛が鳴って火神が飛ぶが、数センチで相手にボールを取られる。
取ったのは海常高校バスケ部主将、笠松 幸男。
決して長身とは言えない彼だが、主将を務める程の実力と精神力は相当のものだ。



「んじゃ、まず一本!キッチリいくぞ!」



ボールをバウンドさせながら、PGでもある笠松はチームに早速指示を出す。
しかし、彼は最初で相手が新設校と言うこともあって…、隙がありすぎた。

(特攻斬り込め…!)

一瞬で黒子が彼の懐に飛び込み、ボールを弾く。誠凜がボールを奪った。
行き成り現れ走り出した黒子に、直ぐ笠松は切り替えて追いかける…と、思ったより早く追いつく。

(コイツ、遅ェ!)

笠松は思わず余裕で笑いかけたが、一瞬で黒子はボールを斜め後ろに放つ。
はっとボールを目で追って身体を反転させるが、そこには火神。
パスを受け取るとぐっと膝を折ってゴールへ…、跳ぶ…!
大きく腕を振り上げ、彼の醍醐味とも言えるダンクを勢い良く且つ豪快に決めた。


――派手に異常な程大きな破壊音を立てて。















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