じれんま

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ストリートのコートは私の帰り道にある。只それだけだ。
遅くなった帰りに悲しいほど耳が知っている音に、目が聞こえてきた方へ自然と向く。
重いバスケットボールが地を付く低い音。



「聞いたぜ、同学年に“キセキの世代”って強ェ奴らがいるらしーな。」



割と静かなコートでは、声が普通に聞こえてきて。

――“キセキの世代”その単語に視線はコートに向いたまま、一緒に足も止まってしまった。

そこにいたのは、同じクラスの火神と黒子。
バスケットコートの中で対峙するように向き合っていた。



「オマエはそのチームにいたんだろ?」



此処からでは彼の横顔から後ろしか見えず、黒子の表情はわからない。
…その言葉に、彼はどんな顔をしたのだろうか。



「オレもある程度、相手の強さは分かる。ヤル奴ってのは、独特の匂いがするんだよ。…が、オマエはオカシイ。弱けりゃ、弱いなりの匂いはするはずなのに。オマエは何も匂わねー、強さが無臭なんだ。」



そこまで言うと、火神は目つきを変えやる気満々といった様子で黒子を見た。



「確かめさせてくれよ。オマエが…、“キセキの世代”ってのが、どんだけのもんか!」
「……奇遇ですね。ボクも、キミとやりたいと思っていたんです…、One on one。」



私にはどちらも気付いていないようで、ボールを片手に黒子が上着を脱いでOne on oneが始まった。

結果は見るまでもなく分かり切っていたが。














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