☆新庭

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中学生にとってすればU-17合宿2日目、AM.6:00。

毎朝恒例の“入れ替え戦(シャッフルマッチ)”が始まろうとしていた。




『十先輩、手加減は、』

「…これ以上にしろと?」

『早々に怪我で退場は好ましくないんですけど、まあ…あたしはただのマネージャーですから。』

「気が回ったらな。」




手に持っていたラケットを示すように少しあげてから、あたしの言いたい事を理解したように腕を下ろすとコートに入っていく。

相手が相手だからそう簡単には“壊れない”とは思っているが、コーチがぶつけた対戦だ。

何が起こるか、するりと高校生の陣から抜け出すと手当てが出来る用意を取りにマネージャー室へと向かう。




「随分とスカスカしたラケットっすね?青春学園2年、桃城武。この“入れ替え戦”勝ったら俺、5番コートっすね。」

「無い。」




桃城の言葉にただ一言だけ返すと、鬼は踵を返しラインにまで下がっていく。

中学生は各々に場所をとり、桃城の応援をするものの声も聞こえた。




「中学選抜からは桃城だけばいね。」

「“入れ替え戦”は合宿にいるコーチ数名が独断で決めてる言うてたで、羨ましいやっちゃな。」

『羨ましいかどうかは置いといてあまりこの試合をなめていない方が良い。』

「うわっ!急に現れるなや、朔!」




地べたに座り込んで話していた千歳と謙也の間から、ひょいと顔を覗かせて朔が口を挟んだ。

急に音も無く現れた彼女に驚かないわけが無く、流石というべきか良い反応で謙也が軽く前にずっこけた。




『ごめんごめん。でも十先輩との試合は此処では、相当の覚悟をしなくちゃならないって言われるくらいなんだよ。』

「そんなに強か?」

『5番コートにいるものの何故か上のコートとの対戦はなく、下から上がって来る者を悉(ことごと)くブチ落としてる。付いたあだ名は“地獄の番人”。』

「じ、地獄の番人ってまたおっそろしい名前やな…。」




まあ、そういう“役割”だからそんな風に呼ばれてしまってもしょうがないのだけど。

寧ろ、ぴったりと言うところか。




『兎も角、昨日試合して君達が勝ったような高校生とは全くもって異なるんだよ、十先輩は。』




それがコーチ達の思惑であるからこの対戦なのだけど。

ちらりと、コートに付けられた監視カメラを目で捉えるとよっと立ち上がってコートに近づいた。



鬼vs桃城の試合が始まる。













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