鬼灯の冷徹
□第1話 地獄大一番(雇用)
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『初めまして。
ごきげんよう。
これから
皆様の案内を致しますのは、
閻魔大王第二補佐官の
鬼女蘭と申します。
脇道にそれた場合は
罪が増え、
地獄での刑期が
永くなりますので、
ご理解御協力を
お願い致します。
では此方へどうぞ?』
―――あの世には
天国と地獄がある。
地獄は
八大地獄と八寒地獄の
二つにわかれ、
更に272の細かい部署に
分かれています―――
*****
「閻魔大王っ!!」
「阿鼻地獄で川が氾濫していますっ」
「天国から要請書が…」
「黒縄地獄は財政破綻しそうですっ」
『皆様。
此方からでも
人の様に見える
彼方の机に座っている
髭を生やした男性は、
(ヒゲモジャのおっさん)
皆様の今後を審査なさいま
す
ワタクシの上司の
閻魔大王様で
いらっしゃいます。』
「たすかったよぉ鬼女蘭くん!」
『閻魔大王。
まだ捌(さば)き終わって
無かったのですか?』
「いや…えーっとね…
阿鼻は政令指定地獄でしょ?
そっちで何とかして!
あとは…」
『閻魔大王。それらは
ワタクシが引き継ぎます。
閻魔大王は亡者の判決を
お願い致します。
(貴方しか出来ないんですから!)
――亡者の皆様は
此方へお並びください。
鬼人たちは
此方へお願いします。』
「ホント助かったよぉ鬼女蘭くんー!!!
鬼灯君は視察に行ってー、
此方はてんてこ舞に
なっちゃってたんだよねぇー。」
『いえお気に為さらずに。ただ…、
語尾は伸ばさないで下さい。
威厳がなくなります。
(只でさえ無いのに)』
「閻魔大王ー!天国の住民とそれに付き添う動物達がっ!」
「鬼女蘭くんに相談してっ!」
*****
「針山は特に問題なし
不喜処地獄はどうですか?」
「従業員不足ですねぇー。」
「鬼灯様ァ―――
鬼女蘭様からの連絡ですぅ…」
「おや。
鬼女蘭にしては珍しい……
成る程。
天国から住民と動物達が…
それで雇用書類が。
流石鬼女蘭。
わかっていますね。」
「鬼灯様アアアアアアアアァ」
「どうしました?」
「スミマセンッ!
ちょっとトラブルが……
桃太郎とかいうのが来てて…」