オリ主のオリ主によるオリ主のための聖杯戦争

□八野坂吹雪の聖杯戦争
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桜坂神社

桜坂神社は近所では有名だが、冬木市全体で言うとマイナーな神社である。

それは冬木市にある柳桐寺というお寺があるからだ。

神社と寺院の差だが、最近は神社と寺院を一緒と思っている人も多く、有名な方にしか行かないのが、桜坂神社が人気でない理由の一つである。

しかし、桜坂神社はある意味で有名だ。

それは、柳桐寺にはいない巫女の存在だ。

最近は巫女服がコスプレ扱いされることも多く、それが目当てで桜坂神社に来る人も多い。
ただし、カメラでの撮影は許可していない。

いくら巫女服で人気を集めても、神社がそんな意味で有名になるのは地主が良くても神社自体が許されることではない。

そして、巫女服を着る少女のことだが、彼女の名前は桜坂紅葉(さくらざか くれは)。

高校一年生にして、現代魔術で超一流の少女である。

その実力は、冬木市のオーナー、遠坂凛を凌ぐほどだ。

彼女が得意とする退霊術は、魔術師として、除霊術でも有効で本来の巫女としての役割を果たしている。





そんな彼女は今日、神社の祭殿付近である儀式を行っていた。

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。
  素には銀と鉄。礎には石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。
   降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

ある儀式とはサーヴァント召喚の儀式。

彼女は聖杯に選ばれた一人だった。

彼女の家計はあまり有名ではないが、かなりの歴史のある魔術家系で、今回の聖杯戦争で有名になるであろうと期待されていた。

しかし、彼女はあまり乗り気でない。

正直、魔術と縁を切って普通に暮らしたいという願望があるが、それを聖杯に望むのはあまり良くないと思い、周りには桜坂の家系の為に持ちかえると伝えている。


この時、同時にある場所でも召喚の儀式を行われていた。

「―――告げる。汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に。
   聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ―――」

朗々と唱える遠坂凛の魔力が魔法陣に徐々に吸い取られていく。

凛は魔力の流れを限界まで加速させる。体内の魔術回路から苦痛が押し寄せてくるが、凛は痛覚を無視し、詠唱を続ける。

「―――誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者。
   我は常世総ての悪を敷く者―――」

紅葉の魔術回路は限界に近い加速を行い、体は悲鳴を上げるが、ここで詠唱を止めるわけにはいかない。

聖杯に本当の願いを託すためにも止めるわけにはいかない。

「―――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

逆巻く風と稲光。

目を開けていられないほどの風圧の中、召喚の文様は輝きを放つ。

召喚の文様が光り輝く中、赤い外套が目にうつり、凛は直感する。

こいつは、最強のカードを引いたのかもしれないと。


「問おう。貴様が私を招いたマスターか?」





「お前が俺を呼んだマスターか?」

「貴様が俺を招いたマスターか?」

紅葉は、驚きを隠せなかった。

召喚の魔法陣が二個もあったことに。今回の為に描いた魔法陣の近くに、後は魔力をちょっと込めれば発動する魔法陣があることを気付いていなかった。

おかげで、二体のサーヴァントを呼び出してしまった。

「・・・うん。二人とも私のサーヴァントだよ、よろしくね。ところで聞きたいんだけど、二人ともどこの英雄で何のクラスで召喚されたの?」

「俺から言うぜ。俺はクー・フーリン。クラスはランサーだ。聖杯に託す願いはないが、強い奴と闘いたいから聖杯戦争に参加したぜ」

「俺はグレスト・ローザス。こことは違う世界で生まれ、反逆者として死んだ反英雄だ。クラスはアサシン。聖杯に託す願いは第二の生が欲しいだけでそれ以外に興味はない」

「私の自己紹介もまだだったね。私は桜坂紅葉。桜坂家次期当主で、聖杯に託す願いは平穏な生活だよ」

全員、聖杯に託す願いは違う。

特にランサーの願いがないには、紅葉もアサシンも驚いた。

紅葉は魔力的にもそろそろ限界と判断し、ランサーとアサシンに霊体化してもらう。

元々、サーヴァント一人でも現界させるのに魔力消費がとんでもない量なのに、紅葉の場合は単純計算で二倍の消費量だ。

それでも普通にいられた吹雪は異常であった。

一体彼の持つ魔力量はどれほどのものなのかは知らないが、彼女たち以上であることは明白だ。

紅葉は自室に戻ると倒れこむように寝た。

魔力がほとんど消費されていたのだろう。彼女はもう熟睡状態に入った。

(おい、アサシン。穣ちゃんには悪いが、今後の作戦を決めるぜ)

霊体化した状態のランサーがアサシンに話しかけた。
同じマスターであるからこそ出来る方法であった。

(別にいいが、今回の聖杯戦争どこかおかしいところがある)

(おかしいところだと?そりゃ何だよ?)

(現在、この街冬木市にある高密度の魔力の数が九つだ)

(何だと!?聖杯戦争は七人のサーヴァントが原則じゃねえのか?)

ランサーの感情が揺らいだ。

この感情が驚愕なのか嬉しさなのかわからないがランサーは武者震いをしていた。

(それが、俺の感じている異常だ。ただし、俺は高密度の魔力があるところが九か所と言っただけで、サーヴァントが九人とは限らないぞ)

ランサーとアサシンの会議は朝になるまで続いた。
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