オリ主のオリ主によるオリ主のための聖杯戦争

□聖杯戦争、第一夜
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キャスターとアーチャーの攻撃で穂群原学園を中心にとてつもない爆風が起きた。

その風は一時的なものだったため、被害は特に出なかったが、吹雪が魔術で造り、監視で飛ばしていたカラスが消し飛ばされた。

アーチャーの宝具の一撃で壊されたと判断した吹雪はキャスターの安否の確認のために急いで穂群原学園にアルケミストと共に駆けつけていった。礼呪が消えていなかったが、相手のマスターのこともよく確認する必要がある。カラスでは良く見えず、相手が少女がマスターで青年がサーヴァントだということしかわからなかった。

穂群原学園の校門が見える住宅街の道路に差し掛かると一人の男が立っていた。男の雰囲気から、既にサーヴァントであることがわかった。紅く輝きをもつ槍に全身青い姿が、こちらに向ける視線は暴れる一歩手前の獅子のようだ。吹雪より半歩前に出たアルケミストは錬金術で機械鎧(オートメイル)となっている右手の甲から延長するように長い50cmほどの両刃を錬成した。

「わりぃが、誰も入れてはいけないのが俺の役目なんでな。おとなしく、死んでくれや」

槍を持つサーヴァント、ランサーは攻撃を返すように構えているアルケミストの右腕に槍を一直線に突き刺した。
だが、槍は突き刺さらず甲高い金属音を鳴らし、アルケミストは右手をランサーの胴体を薙ぎ払いするように振るった。やはり単純な速度はランサーの方が有利か、薙ぎ払いは空振りに終わる。
さらなる追撃をかけるアルケミストだが、ランサーの槍で相殺される。距離を開け、お互いに体制を整える。
ランサーは槍を下段で構え、鋭い眼光でアルケミストのわずかな隙を狙おうとしている。それに対し、アルケミストは胸元で両手を構えているだけであった。

静寂に包まれた住宅街。明かりのない家々。闇夜に照らされる電柱。赤い槍を持つランサーと鋼の刃をもつアルケミスト。

動き始めたのはほぼ同じタイミングだった。ランサーの槍先とアルケミストの刃先は甲高い金属音を何度も反響させ、火花を散らす。ランサーの一突きの早さは瞬間をもう超えている。アルケミストの錬金術の速さも瞬間錬成に到達していた。


「マスター、先に行け。後で追い付く・・・」

アルケミストはランサーの方を向いていながら警戒しつつ吹雪にそう告げた。吹雪は頷くと回り道をして穂群原学園へ向かった。吹雪に逃げられランサーの動きに合わせ、追いかけさせまいとアルケミストは動きで示している。

焦りを見せるランサーは隙だらけで、アルケミストが大技を発動するには十分な時間だった。

「宝具錬成、デュランダル」

一本の両刃剣だった。長く銀色に輝く刀身、黄色の柄頭と鍔に青い握りが剣の象徴ともいえよう覇気を溢れさせていた。

覇気に圧されるランサーだが、気にかかることが一つあった。アルケミストは宝具を出す前に、宝具の名前と錬成(・・)という言葉を言った。真名解放の時以外は言ってはならないのが聖杯戦争の原則だが、何故宝具を出すときに名前を言ったのか、それに錬成とはどういうことか気になるランサー、それと裏腹にアルケミストが本気になったことをランサーは興奮に満ちていた。
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