オリ主のオリ主によるオリ主のための聖杯戦争
□聖杯戦争、第一夜
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穂群原学園とよばれる私立の高校がある。
冬木市にある高校の一つで、交通の便もよく町内の境目にあることから各地から生徒は登校している。
今、学園の夜のグラウンドに、一人の少女と一人の青年。その向かい側、50m先に、ローブを纏う人影があった。
「よう、何だ?戦いに来たのか?」
アサシンは、ローブをまとった人影に問いかける。依然、ローブ姿の人影は黙ったままだ。紅葉は静まり返ったグラウンドで威風堂々と立っていた。
あきらめがついたのか、覚悟ができたのか、ローブを纏う人影はローブをはずした。月光に照らされ、映る人物を紅葉は一瞬、もしかしてと思ったがそれはないとすぐに否定した。
「サーヴァント、キャスター」
ローブをはずしたサーヴァント、キャスターは静かに呟いた。その声は校内に響き、紅葉の耳にも聞こえた。
「アサシンだ。さっそくだが死んでくれや」
紅葉は自身のサーヴァントの姿を見失った。その瞬間、キャスターのいる場所で甲高い金属音が鳴り響く。
アサシンの短剣とキャスターの大剣が交差する。二本の短剣によるアサシンの猛攻をキャスターは大剣一本で苦も無く防御している。それはまるでアサシンの攻撃をすべて見透かしているような動きだ。
紅葉は次元の壁を感じていた。本来の戦いなら短剣と大剣ならリーチの差や攻撃速度など違いが大きい者同士で争う場合、どちらかが不利になる。だが、目の前のサーヴァントの戦いを見ているとさっき言ったそれと関係しているようには見えない。
「お前、ホントにキャスターか?動きだけならセイバー並みといってもおかしくはねぇ」
アサシンの幾多の戦場を駆け抜けた強者のような解析に紅葉の表情は驚愕に変化した。
紅葉の偏見だが、アサシンのサーヴァントは通常のような戦闘は行わず、不意打ちや暗殺を得意とすると思っていた。
たしかにそういうアサシンもいるようだが、この紅葉が召喚したサーヴァントは通常のアサシンと比べると異常だった。
それに対して、キャスターもまた異常である。キャスターは魔術を使って戦う印象があるが、ここにいるキャスターは全くもって正反対な戦い方である。大剣を用い、魔力を一切使っていないようだ。
紅葉が認識できる魔力の痕跡はアサシンのだけだった。キャスターなのに魔術も魔力も使わない、英雄としてどれほどスゴイ人物なのか気になるが今は考えていられるほどの余裕はない。
戦闘の分析だけで紅葉にとって限界だった。
ただでさえ、ランサーの偵察で魔力消費が激しいのに、アサシンとキャスターの戦闘を解析している。
魔術師でこれができるのはほんの一握りの人物だけだろう。
キャスターは戦いを愉しんでいた。キャスターのマスターである吹雪は目的を果たしたあとは自由にしてもいいと交戦許可が降りたのでキャスターの比較的近くにいたアサシンと戦っている。
アサシンのサーヴァントは戦闘に不向きな奴かと思っていたキャスターだが、どうやら杞憂だったと気付くと戦闘だけを愉しんだ。