がんばる小悪魔ちゃん(終)

□小悪魔ちゃん 家出をしたことを知られる
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嫌悪感を抱かれることはよくあるから馴れていた。けれど褒められることは滅多にないから、なれていなかった。
誰かに特別な好意を抱かれるも馴れていない。むしろ、それを口にして言われること自体が初めで、どうすればいいのか解らなかった。
好きです。と好意を抱かれること事態に悪い気はしなかった。それどころか嬉しいとすら思った。レムだったから、尚更嬉しいかった。けれどそれよりも恥ずかしさが上回って、レムを遠ざける様な言葉をルシフェルは言ってしまったのだった。
彼女がどんな表情をしていたのかはわからない。けれど今までも散々、酷い事を言っていた気もする。それでも目の前からいなくなることは無かったのだから、今回も大して気にはしていないだろうとルシフェルは軽視していた。


「レムー、おーいレム。どこにいるんだよ」
やることも無く時間をもて余していたルシフェルは、遊び相手にとレムを探していた。

「ったく、どこに行ったんだよ。あいつ。――レム、居るんだろー 隠れてないでさっさと出てこいよ」

ルシフェルが彼女を探し始めたのは、今から30分以上も前のことだ。
いつもなら同じ部屋にいなくとも、その外、廊下にいるから呼べばすぐにやって来るはずなのだが、今回は違った。呼んでもレムは来ない。
面倒臭いなと思いつつもルシフェルは部屋の外に居るであろうレムを呼ぶために部屋のドアを開けた。
「あれ、いない」
いつもの定位置にレムの姿はなかった。
「……もしかしてあいつ」律儀についてくるなと言った場所にいるのではないか。そう思ったルシフェルは、その場へと向かった。
そこにレムの気配すらなかった。

下女のクセに手間を使わせやがって、見つかったら気が済むまでお仕置きをしてやろう。とルシフェルは心に誓った。

そして現在、魔王城の隅から隅まで探したがレムの姿、気配すらどこにも見当たらない。
どこかに出かけたのだろう。その内、帰ってくる。
帰ってきたその時は、城中を歩き回させた罰と、黙って出かけた罰を与えてやろう。
その事を考えながらルシフェルは自室へと戻り、レムの罰を考え始めた。

1日が過ぎ、もう1日が過ぎ、更に3日が経ってもレムはルシフェルの前に姿を現すことはなかった。
「何なんだよ、あいつ。あんな事を言っておいて、いなくなるとか意味わかんねえ」
レムが帰って来ない日が増すことに、ルシフェルの機嫌は悪くなる一方だった。
そしてそれが城中に彼女がいない事を知らせることとなっていた。
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