がんばる小悪魔ちゃん(終)

□小悪魔ちゃん 魔王城に住む
1ページ/2ページ

彼が彼女を拾ったのはたまたまである。見かけない顔。それに興味を覚えたのかもしれない。
目を覚ました彼女は自分が置かれている状況に混乱した。先ずはここがどこなのか。
こんなふかふかな物体は今までに見たこともないし、使ったこともない。だから自身の住みかではないのは確かだ。
一先ずこの上から降りよう。
足元は安全か。目視で確かめ、身体にかかっていた布を落として確かめる。
何も起きない辺り、安全のようだ。
少しでも身体を動かすと傷口が痛むが、今はそんな事を気にしてはいられない。
この場所がどこなのかを確かめるのが一番大事だ。
外の様子が見える穴へと、レムは近づく。
「壁?」
透明な壁――窓ガラスにレムは驚いた。
「……良かった。一応、元の世界には帰ってこれてる」
空は見慣れた赤色。
窓から見えるのは、森一面。
魔界へと戻れたことにレムは安堵する。
後ろを振り返って、周りを見渡した。
見たことのないものばかりがある。壁も岩でできていない。
ここは一体どこだ。
レムは片手で自身の羽を数枚、むしり抜いた。
そしてそれを傷口へと押し当てた。
「再生(リーフ)」
呪文を唱えれば羽は光、その姿を傷口と共に消える。
レムの能力のひとつである治癒魔法だ。
これの他に相手を殺める魔法もいくつか使えるが、彼女は誰か殺め様とは、人に銃を向けられ、撃たれるまで思ってはいなかった。
次にあの人間どもに会ったら、悪夢を見せて跡形もなく殺ってやる。と再度固く胸に誓った。
そうと決まれば、今すぐにでもここから出よう。
透明な壁を押し引きすると、壁は開いた。
窓の縁に足をかけ、いざ飛び立とうとした時、後ろにあったらしい、扉が開いた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ