本棚V

□金魚鉢
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めずらしい。

隣で眠る人を見た。

ダンスレッスン室でレッスンの合間、休憩してたら肩に重みを感じた。
少し目の下にクマがある。
穏やかな寝息に胸がキュッと締め付けられた。

「あらら。翔ちゃん寝ちゃったね。」
相葉ちゃんがのぞきこむ。
そんなに大きな声じゃなかったけど、起こしてしまいそうで慌てて唇に指を立てた。
「疲れ、たまってんだね。休んでんのかな、ちゃんと」
ニノも心配そうに見つめる。
キャスターの仕事も、映画もドラマも。
嵐の仕事も。
隙のない仕事ぶりに自分が不甲斐ないせいかもしれないと落ち込む。
もっと自分がリーダーらしく皆を支えることが出来たら、翔くんがこんなに頑張んなくてもいいんじゃないのかな。

気持ち良さそうに眠る翔くんの頭が次第に傾き、そのうち俺の膝の上に辿り着く。

「仕方ない。その席、今日は翔さんに譲ります。」
ニノがフフっと笑ってストレッチしながら離れていった。
続きするよ、と振り付けの先生が入ってきて。
動きたくないなって膝の上の人を見た。

「リーダーはもう覚えてんだから 、一緒に休んでろよ。」
命令口調なのに端々に優しさが滲む松潤にコクンと頷いた。


フロアに響く音も震える床であっても、全く目の覚めない翔くんを膝に乗せ目を閉じた。




やっぱり頼ってしまう弱い自分が嫌で。
必死に一人で踏ん張って。

でも甘えていたくて。


ごめんね、翔くん。
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