ORANGE days

□05爆発寸前
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穏やかな海と青く晴れ渡った空…


リトルキャンディに停泊して3日目のモビーディック号は、いつもに増して賑やかな朝を迎えようとしていた。


「─起きろエース!」

「…んー…」

「朝だぞ!」

「ルフィ…頼むから耳元で叫んでくれるな…」


自室で爆睡していたエースの元に現れたのは、昨日突然現れた義弟のルフィ。
相変わらずの馬鹿でかい声と共に部屋に入って来たかと思えば枕元でまさかの叫び。
これには流石のエースも頭を抱えて目を覚ました。


「…誰だ、こいつに部屋教えたバカは。」

「ハリケーンだ。」

「…あのバカ。」


おかしな話しだが、どうやらルフィの中ではソラ=ハリケーンとインプットされたらしい。
一瞬でルフィの言いたい事を理解出来る辺りは流石兄と言った所か…
しかし、そんな兄に対して容赦ないのがルフィだ。


「俺腹減ってんだよぉエースー。」

「お前んとこのコックにでも作って貰えばいいだろ。」

「サンジは街に食糧調達に行った。」

「ならこの船の食堂にでも…」

「俺はエースと街に出かけたいんだ!」

「…」


思わず絶句してしまうくらいの可愛らしい一言。
こんな風に言われてしまっては起きるしか無くなってしまった。


「そこの水取ってくれ。」

「これか?」


ゆっくりと起き上がったエースの顔はぐったりして青白い。
夕べいつもに増して酒を呑んだせいで珍しく二日酔いと言う物を味わったようだ。


火照る様に熱く乾いた喉に、頭痛と吐き気…
それを少しでも紛らわす為に渡された水をグイッと一気に飲み干した。


「ったく…久々に会ったと思ったら可愛い事言いやがって。」

「そうか?」

「あぁ。好きな女に言われたらもっと最高なんだろうけどな。」


少し喉が潤ったエースはルフィに向けていたずらな笑みを浮かべる。
そんなエースにルフィはキョトンとした表情を浮かべ口を開いた。


「何だ、ハリケーンの事か。」

「…は?」

「好きな女ってハリケーンだろ?違うのか?」

「なっ…」


ルフィの言葉に目ん玉が飛び出しそうなくらい目を見開いて驚いたエース。


何故今この状況でソラの名前が出て来るのか…
ルフィは何を思ってそう口にしたのか…


一瞬の間に浮かんだ疑問は多々あったが、驚きの余り上手く言葉にならない程だ。


「何でお前っ…」

「やっぱそーだ。」


そんなエースを見て満足げに笑うルフィ。
その瞳にはあっという間に顔を真っ赤にさせたエースの姿が映し出されていた。


「エースの事なら何でもわかっちまうんだよな、俺。」


…にしし、と心底嬉しそうに笑うルフィに悪気は感じられない。
寧ろ喜んでいる様に見える。


そんなルフィを前に、エースは信じられないとでも言いたそうに口元を抑えて顔を反らした。


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