ORANGE days

□04突然の訪問者
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翌日の朝…


見張りを終えたソラは欠伸をしながら白ひげの元へと向かった。


トントン…


「お父さん、ソラです。」


船長室の扉を軽く叩き声をかけると、中からは複数の声に混じって聞き慣れた声が返って来た。


「おう、入れ。見張りご苦労だったな。」


船の中で白ひげを『お父さん』と呼ぶのはソラただ1人。
普段親父だおやっさんだと呼ばれている白ひげは、この『お父さん』と呼んでくれるソラが可愛いくて仕方無かった。
故にソラを見つめる瞳は普段よりも柔らかいものだったりする。


その瞳にソラを映した白ひげ。
そんな白ひげを見てソラもまたふんわりと笑いかけた。


「おはようございます。相変わらずここは朝から賑やかですね。」

「全くだ。人の寝起きに何本も管なんざ繋ぎやがって。」


ザワザワと賑わう広い室内を見渡せば、4〜5人のナース達があれやこれやと動き回っている。
点滴を繋いだり血圧を計ったりと今では見慣れた光景だった。


「あ、動かないで下さいよ?過って血が吹き出ても知りませんからね。」

「そりゃおめーの腕次第だろーが。船の上で針刺そうってんならそれなりの腕くれー持ってんだろ。」

「あー言えばこー言うんだから。」

「元気な証拠だ。」


グララ…と豪快に笑う白ひげと肝っ玉の座ったナース達のやり取りにソラは小さく微笑んだ。


「で、こんな朝っぱらにどーした?」

「あ、そーだった…」


ここに来たのには訳がある。
静かに言葉を待つ白ひげと向き合ったソラは何から話そうかと言葉を探すのだが…


「…ややこしいから結論から言っちゃお。」

「?」


出て来た言葉はソラにしてはアバウト過ぎるもの。
それにはナース達は勿論、普段表情を崩さない白ひげまでもが少し目を大きくして驚いた。


しかしソラは大して気にするでもなく…


「客人です。」

「唐突だな…」


実にアッサリとした簡潔な言葉にその場は一瞬凍結しかけた。


誰が何しに来たとか、もっとこう分かり易い言い様があるだろうに…
最も普段のソラなら迷わずそうする筈なのだが、その本人はどうにも歯切れの悪そうな表情を浮かべている。


「どうした?客人てのは都合の悪い相手か?」

「いや、そー言うんじゃないと思うんですけど…どうも信用性に欠けるってゆーか。」

「…元より他の船に信用性なんてこれっぽっちもねぇだろ。」

「それはそーなんですが、どーも言ってる事が半信半疑で。嘘じゃない様な嘘な様な…って所ですかね。」

「…」

「…ってこんな説明じゃわかんないですよね。何て言ったらいいんだろ…」


眉を下げて困惑気味のソラ。


彼女にこんな表情をさせる客人とは一体何者だろうか…
白ひげの興味は嫌でもその客人とやらに向けられた。


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