天へ続く道

□0章
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 「…今、なんと?」

 ここは天峰学園理事長室。

俺はこの学園で生徒会長をしている、西園寺 薫。
 目の前にいる金髪、緑眼の、いかにも胡散臭い顔で微笑んでいるのは、上椙 雅哉 、この学園の理事長だ。 


 この学園は国内外で活躍する企業の子息が集まる、全寮制男子校だ。
幼稚園から大学までのエスカレータ式になっており、小さいころからずっとこのような閉鎖的空間に詰め込まれていたため、普通ではありえないような規則が成り立っている。
例えば、生徒たちはほとんどのものが、ホモやバイであることや、顔、家柄が秀でているものは崇拝対象となっている、というようなものだ。

 外部から編入するものは滅多におらず、俺の知る限りではここ数年一人もいない。
…いや、いなかった。


「聞こえなかったのかい?
 明日編入生が来るから、生徒会の者に案内を頼みたいって言ったんだよ」

「こんな時期にですか?まだ入学式から一週間程度しかたっていませんよ?」


 第一明日って…もっと早くに伝えてほしいものだ。


「まあいろいろと事情があるんだよ。
 とりあえずよろしくね。」




「と、いうわけだ」


「へぇ〜、転校生ねぇ」

「この忙しいときに…」

「「どんな子かな?」」

「…………」



 所変わって生徒会室。つい先ほどの理事長とのやり取りをほかの生徒会メンバーに説明したところだ。

 上から俺、会計の 宮野 響哉、金髪でアクセサリーをジャラジャラとつけている。次が副会長 尾埜 雅、黒髪に下縁眼鏡でいつも腹黒い笑みを浮かべている。そして双子の書記 佐々木 陸、海
ちなみに陸のほうが兄らしい。 最後のが庶務の 八柳 弘文。いつも無口でしゃべったとしても単語のみ。
個性豊かな現生徒会メンバーである


「で、誰に行ってもらうか…」

「「はいはーい!!僕行きたい!!」」


 元気よく手を挙げ双子が名乗り出る。
…打ち合わせでもしたかのような息の合いっぷりだな。


「お前らはだめだ」

「「えー、なんで?」」

「“なんで?”じゃねぇ。お前ら新歓の書類まだだろ、期限近いんだから先にそっちやれ」

 ちなみに新歓は来週だ。本来ならすでに終わらせているべきなのだが…

「尾埜はもう終わらせてたろ、行ってきてもらえるか?」

「私ですか…わかりました」


 宮野と八柳も終わっているが、案内役が無口だと編入生も気まずいだろうし、あんなちゃらちゃらしてたら学園のイメージ悪くなりそうだからな。

 ってかほかのやつみんな終わらせてんのになんで書記だけこんなに遅いんだよ…


「じゃあよろしくな」



 この時俺は思いもしなかった。
あんなことになるなんて―――











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