スペードの国のアリス

□二人の余所者
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時間帯が変わって、スペードの塔では会合が開かれ始めていた。

会合とは、この世界の護らなければならないルールの1つ。
各領地から役持ちが集まって、顔合わせをする。

形だけの集会ともいえる。


ア「ねぇブラッド、まだナイトメアはこないの?」



もう召集された者は全員そろったというのに、主催者であるこのスペードの塔の領主が来ていない。

あろうことか、その部下のグレイすら。


ブ「またあの芋虫が吐血でもしたんじゃないか?彼の病弱っぷりには称えるものがあるからね」



ア「あぁ…そうね、ありえるかも」

若干馬鹿にしているようにも取れたが、あえてそこはふれないで置くことにした。


ナイトメアの病弱っぷりは、以前こクローバーの塔に来たときに拝見している。


あの青白いいかにも体調の悪いナイトメアの顔は、忘れたくても忘れられないだろう。




そんな時、向かいに座っていた赤い集団…ハートの城の住人達がアリスに近寄ってきた。


ペ「アリスっ!会いたかったですよっ!貴方を見ていられるだけで僕はもう天にまで昇る勢いで幸せですっ!」


白いウサギ耳をピンッと立てながらアリスに愛の告白を言うのはペーター=ホワイト。
アリスをこの世界に連れてきた張本人。



エ「はははははっ。ペーターさんはいつでも積極的だなぁ。見習わなくっちゃ」


そう言って爽やかな笑みを浮かべるのは、ハートの騎士であるエース。
彼の笑みにはとこか仮面のような違和感がある。

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