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□出会い 綱吉視点
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ボンゴレ視点 綱吉SIDE



最近、麻薬の密売をしている中小ファミリーの本拠地が分かったという報告があった。

今日、そのファミリーを殲滅させに行くらしい。


あんまり乗り気じゃなかったけど、獄寺くんに「十代目の右腕として・・・・」と熱く語られ断ろうにも、もうどうにも出来なくなってしまった。



中学生。14歳だった頃から5年。


ボンゴレファミリーのボスになってからもう結構な時間がたっていた。


「でも、ホントなれないんだよなぁ」

上を向いてため息をついた。


「おい、ツナ!」

いきなり正面から名前を呼ばれた。

「なんだよリボーン。」


視線を移すと、目の前にはスーツに身を包んだ青年がいた。


「お前、忘れてないか?もうすぐ出発の時間だぞ。」


時計を見ると、あと一分だった。

あせる俺を見てリボーンが鼻で笑った。


「忘れているようだが、今日の戦いの規模は大きい。守護者が勢ぞろいしていくんだぞ?雲雀や骸のやつを待たせているんだ。後でどうなるのか、楽しみだな。」


カチッ。時計の針はまた一つすすみ、ツナの完全な遅刻を告げたのであった。





そして今回の標的になっているマフィアが麻薬の売買を行っているという集会所へと着いた。

遅れて着いたツナがどうなったかはご想像にお任せするとして、もう既にツナだけぼろぼろだった。


「ふうん。ここがその集会所か。結構大きかったんだね、楽しめそうだよ。」

「クフフ。今回君の出番はありませんよ。君は指をくわえて見ているのがお似合いだ。」

「咬み殺す。」


雲雀恭弥、六道骸も相変わらず仲が悪い。

「おいお前ら!十代目に迷惑かけてんじゃねーー!!」

獄寺が騒ぐ二人に向かって怒鳴る。

「はは。皆いつもどおり元気だな。」



ボンゴレファミリー守護者のいつもの風景を見てまたため息をつき


「じゃあ、行こうか。」
ツナの言葉で守護者がゆっくりと動き始めた。

ツナはこれから恐ろしい戦いになることを覚悟し。

守護者といっせいに敵の集会所へと突撃した・・・だが


ボンゴレファミリー守護者は全員一瞬自分の目を疑った。

確かにその集会所には、敵ファミリーがいた。

否、元は敵ファミリーだった。というのが正しいかもしれない。そこには





地面一面に広がる元敵ファミリーのものらしき血肉の海があった。

「!!!!!!!!」

現状にまったく頭が追いつかず、言葉が出なかった。

「ねぇ、沢田綱吉。もたもたしている暇はないみたいだよ。」


雲雀さんの声にハッと我を取り戻した。 そして正面に誰かの気配があることが分かった。


もう全員気配に気づいていたらしい。
そこで、一つ疑問に思った。
あれ?何で今、超直感が使えなかったんだろう。
超直感は、代々ボンゴレボスが持っている見抜く力のこと。
自覚は無いが当然綱吉にも使えるはずなのだが、何故だか今回はその力が働いたような気がしない。

「十代目!気配が近づいてきます。」獄寺くんが小声で俺にささやいた。

すると、暗かった室内にいきなり光が刺し、気配の姿がはっきり見えた。


「・・・・・・え?」
もう一度言葉を失った。


そこにいたのは

光に反射して輝く長い銀髪に淡い紫色の瞳。白いワンピースをまとった15歳くらいの
少女だった。


呆気にとられてみているうちにおかしい事に気がついた。


その少女がこの凄惨な状況を作り出したのなら、敵を木っ端微塵にするために大型の武器の一つでも持っていた方が無理やりにでも納得が出来る。


しかし、少女の手には武器というものが一つも握られておらず、これだけ凄惨な状態において、返り血の一つも浴びてはいなかった。



呆然としたように見つめる俺らに何の感情を向けるでもなく、少女は無反応だった。
だが、目が合ったとき、すこしニコッと笑った。


そしてこっちに指を刺し


『あなた、誰?見たことあるきがするんだけど。』と俺のほうをむいて言葉を発してきた。

決して大きな声ではなかったけど、澄んだよく通る声だった。


というか、見たことがあるって俺のことを知ってる。のか?


「・・・・!!お前!十代目に失礼だろ!!そのてをどけろ!」


獄寺くんが大きな声でさけんだ。すると少女は不快そうな顔をして

『五月蝿いなぁ〜君には何も聞いてないよ』


そういって俺に向けていた人差し指を獄寺くんに向けてすこし動かしたかと思うと指先を小さく上に振った。




シュッ_________




俺と獄寺くんの間を何かが通り抜けたような気がした。


視線をうつすと息を呑んだように固まっている獄寺くん。


その頬には、一本の深い切り傷があり血がにじんでいた。


さっきまでと同じように、少女の手には刃物などは一つも握られていなかった。

綱吉は思い出してみる、そう、さっき彼女が獄寺くんの頬を切るのに使ったのは、少しだけ動かした、


人差し指一本。

その瞬間、今まで呆気に取られていた室内中が緊張に包まれた。





『あーあ。はずしちゃったー。』

わざとらしく言いながら微笑む少女はとても楽しそうだった。


『んん?あ。』


「ワォ。面白いね君僕と戦いな『あーーーーーーーー!!思い出した。』・・・・・よ」



雲雀の言葉をさえぎるという命知らずな行為をものともせず、少女は棒読みで少しだけ大きな声をだした。



そして、とんでもない事を言った


『あなた。ボンゴレボスの沢田綱吉でしょ?』


「「「「「・・・・・!!」」」」」


『あは♪あたっちゃった?私、記憶力には自信があったんだけど、思い出せなかったなんて私もまだまだだね』


「お前!!餓鬼のくせしてなんで十代目のことを知ってやがる!」



『あれ?さっきのお遊びが効かなかった?君には何も訊いてないって言ったつもりだったんだけど』


少女の顔から笑みが消えた。
「!!・・・・・」



「クフフ、なかなか面白いお嬢さんだ。獄寺隼人を嫌うあたり、分かり合えそうな気がします。」


と、ここにきてまさかのタイミングで骸が会話に入ってきた。


『六道・・・骸?』

「おやおや。僕の名前を知っているのですか?」

心底驚いた顔をする骸、放心状態のツナ、興味津々の雲雀、喋りたいけど喋れない獄寺、そしてここに来てから一言も喋っていない山本。

となかなか面白い面々がそろっていた。

『あれ・・・?覚えてないんだ。まぁいいや。
貴方たち、どうやらここにいた下種ファミリーのお仲間じゃないみたいだしね。

私の名前は レイ。さっきまではファミリーに所属していたけど、今はフリーです。』

薄っすらと綺麗な笑みを顔に宿しながら彼女は呟いた。



その表情に少しだけ緊張が解けて、一番疑問に思っていることを質問した。

「この状況、君一人でやったの?」


と周りを見ながら言う。


そうすると、少女はにっこりと笑顔を浮かべ



『うん。そうだよ?だから言ったじゃん、さっきまでファミリーに所属してたって。そのときの、最後の任務だったんだ。よく考えたら、君たちもここのゴミ共をお掃除しに来てたのかな?邪魔しちゃってごめんね。』


本当に申し訳なさそうな声を出しているのに、微笑んでいた。

さっきまでの可愛らしい微笑みとはまるでちがう・・・・・・・・・・・・・・・




狂気の笑みだった


(ゾクッ・・・・・)


この子・・・・・怖い

それは超直感でもなんでもなく、ぶれの無い人間としての本能がそう告げていた。



俺がぶつぶつ考えているうちに、少女の顔が曇っていった。

『ああ・・。こんなところにいてもつまんないから、私、帰るね。』


「えっ?ちょ、ちょっと!!」

『きっとまた近いうちに会えるから・・・・。』



そういい残して、一瞬の間に消えてしまった。


「なんだったんだ、一体。」


「ふん。咬み殺す草食動物が居ないんだったら、僕は帰らせてもらうよ。」

そういってスタスタと歩いていってしまう雲雀さん。


「クフフ・・・。レイ、でしたっけ。どこで僕の名前を知ったか分かりませんが、調べ概がありそうですね。」


「んーー。よくわかんないけど、一件落着ってやつか?」


「十代目!!お怪我はありませんか!」


「いや・・・獄寺くんこそ。それ、大丈夫?」

「・・・・・・。すみませんでした十代目っ
!十代目をお護りする身でありながらっ」


本格的に思いつめてそうな顔の獄寺くんを見たら、苦笑しかできなかった。


「じゃあ、帰ろうか・・・っと。その前にこの状況・・・・・・やっぱり処理しなくちゃいけないよね。」



この後ツナは、リボーンに任務失敗についてどやされ、地獄の日々を味わうのだった。



(なんかさっきから、オレの扱いひどくない!?)




ある日の昼下がり、銀色の少女と出会った最初のオハナシ。
少女と再会するのは、もう少し後。

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