その瞳に映す

□人魚座
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今日から人魚座が京へ戻ってくる


それはつまり彼女達がここに戻ってくる事を指す


彼女達が戻ってくるのはおよそ1年ぶりだ


遠方で一座を率い様々な情報を得る


それこそ年単位で様々な土地へ向かう


その一座が京へと戻ってきた



「見世物小屋に何かご用ですか新撰組の方?」


「っ!」


「ちょっ!こんなとこで暗器はよしてくれないか烝君?」



俺よりも背の低い青年


その瞳は海と同じ蒼


それが意味するのは…



「刹那?」


「今は蒼介…忘れないでくれないかな」



会うたびにその顔は違う


しかし、その瞳だけ変わる事はない


その瞳は彼よりも深い色合いをしているのだから



「再会の挨拶もなんだしこのまま人魚座に行こうか」


「そう…だな」



刹那の案内で人魚座へと入る


人魚座は女だけで構成された一座であり、誰もが青みがかった瞳をしている


それはこの一座が一族である事を指す



「あれ姐さん?今日は他に行くんじゃなかったッスか?」


「奥の部屋に誰もいれないように言っといて。それと座長だろ」


「はいッス!」



20になるかならないかの青年もまたこの一座の生まれであるが、彼は黒い瞳をしている


刹那のような蒼い瞳は女だけが受け継ぐ事を昔蒼介から聞いた


蒼介は異例なのだと本人の口から聞かされた



「刹那」


「……烝君、それはっ!」



刹那が何かを告げる前に口を塞ぐ


己の口をもって


華奢な体を抱き締め何度も口付ける


いつしか体の力が抜け寄り掛かってくる刹那がどうしようもなく愛しく。約束という名に縛られた元恋人を解き放ちたかった





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