その瞳に映す
□再会
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「…という事になるかな〜今回の任務は」
「そうか…ご苦労だった」
「給金もらってるし、それに見合う仕事をするのが〜、主義ですから〜」
「……てめぇ、いつまでその格好でいるつもりだ刹那?」
刹那
そう呼ばれた蒼介が細められていた目を開く
そこから現れる海の底より蒼い瞳
見開かれた目の奥底には強い煌めきがある
服装からして男であるはずなのに、今目の前にいるのは妙齢の美しい女
少しでも気を抜けば食われてしまいそうになる
「監察なんてしてるとこっちの方が楽だし、当分は蒼介を名乗らさせてもらうよ」
「てめぇらしいな」
「………」
「何だよ?」
「あのバラガキだなんて言われてた歳君が大人になったね〜」
「っ!!」
「僕の部屋ってまだ残ってるよね?…その反応からして残ってるだろうし、今日、明日はゆっくりと羽根伸ばししてるよ」
歳君が二の句を開く前に退室する
今日はどうしようかな〜
「数ヵ月ぶりに寺田屋のお饅頭でも食べようかな
それとも高坂屋の豆大福にするか」
「相変わらず甘いの好きなんだね蒼介君は」
「おや、総ちゃん久しぶりだね」
「…いい加減その呼び方どうにかなんない?」
「僕からしてみればキミはまだ幼い子供だよ総ちゃん」
初めて出会った時と同じように頭を撫でる
あの頃とは違う
「いつの間にか背も抜かれてるしね〜」
「いつの話さ」
「二十年近く前だね」
もう、それだけの時間が流れている
ここにいるのはあいつとの約束のため
その為だけに私はここにいる
「…総ちゃん、一緒に甘味を食べに行こうか」
「そうだね。たまには食べようかな」
「僕がいなかった間の事、教えてよ」
昔から弟のように可愛がる少年は未だに可愛い
「もちろん、刹那さんの奢りですよね?」
色々として小金を稼いでいる事を知るからそうしてせびる
それを知って奢る私も甘い
「そうだね」
久方ぶりに京の都を練り歩いてみようかな
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