その瞳に映す

□帰還
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その鴉の濡れ羽根色の髪は艶があり、道行く乙女達がその髪を羨み頬を染める


商人風の青年は京の都を楽しそうに見ている



「う〜ん……何ヵ月ぶりかな〜」



細められた眼がうっすらと開き深い海の色をした蒼い瞳が辺りを見回す


しかし、またすぐに細められ京の都を歩く


その足は八木邸へと進む











「土方さーん」



何時ものごとく屋根板を外し新撰組の鬼副長土方歳三の部屋に入る


そして、そこで目が合う


えっと……土方さん…君、いつからこんな可愛らしい少女を側に侍らせてんの?


いくら変装していようともこんな可愛らしい子が男であるはずがない



「き」


「き?」



ああ…嫌な予感しかしない


急いで飛び降り悲鳴を上げようとした少女の口を手で押さえる



「ごめんね〜、怪しい者じゃないから悲鳴上げないで欲しいな〜」



その忠告も廊下を駆けてくる複数の人物により無駄に終わる



「千鶴!何かあったか!?」


「「「あ!」」」


「お、平助君に、新八君、左之君久しぶり〜」



相変わらず、元気そうだな〜



チャキ



「え゙」



三人が一斉に刀を抜く


嫌な予感がする


その勘に従い、平助君が千鶴と呼んだ少女を抱き上げ、跳躍する


先程までいた場所に斬撃が飛び交う



「ちょっと〜、本気で斬ろうとしないでくれよ〜」


「あ、あの!」


「千鶴ちゃんだっけ?僕は新撰組監察方の如月蒼介よろしく〜」



着地と同時に三人を蹴りあげる


何やら変な音がしたかもしれないけど気にしないでおこう



「如月さん!平助君達が!!」


「あの三人ならあれくらいじゃ死んだりしないから大丈夫だよ〜。それと蒼介でいいよ」



慌てる千鶴に千鶴を抱き上げたまま微笑む蒼介の姿が土方の部屋にあった


その後、物音を聞き付けた幹部の者達が土方の部屋に押し付け、千鶴を抱き上げたままであった蒼介に再び一悶着が起きるのであった






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