小話
□too late two
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俺は狡い大人だ。
「ぁ、ギル、ダーツッ!!も…だめ…ッ」
「ナツ、もう中だけでイけるよな?」
ナツがずっと"父親"という存在を求めている事は知っていた。
そして、俺にそれを重ねている事も。
「んッ、一番奥のとこ、ギルダーツの全部欲し…ッあ!!」
「くれてやるから、ちゃんと呑み込めよ」
俺は狡い大人だ。
ナツは俺が長い仕事に出ると知ると、必ず自ら俺の元へやってきた。
目の前から誰かが消えてしまうことに怯えて、自分の全てを使って繋ぎ止めようとする。
俺はそんな幼い心と身体を否定も肯定もしないまま、こうして何度も抱いている。
「お前はこんな大人になるなよ」
ナツにそう言えるのは、行為を終えて同じベッドで眠っているときだけだ。
俺の胸にしがみついて眠るナツの寝顔には、いつも小さな涙の粒が浮かんでいる。
俺にはその涙を止める事は出来ないし、拭ってやる資格も無いに違いない。
やっぱり俺は、狡い大人だ。
→あとがき