【F2119】URA

□「二人が海賊になった日」
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覆い被さってきたゾロにぎゅうっときつく抱き竦められ、ルフィはなんだか妙な感じがしていた。
こんな風にじっと、誰かに抱き締められたことなんかない。
兄達とハグしたことはあってもあれは子供のころだし、3年前のあの夜、エースの腕のなかで眠ったときもやんわり抱かれていただけで、ルフィは安心してすぐに寝てしまったし。
それが今、数日前に出逢ったばかりの赤の他人に力強く抱き締められている。
不思議ゾロだよなァ……。
「縮む〜〜」
「ああ、お前ゴムだっけか。こうしてると忘れちまうな。……苦しいか?」
「んにゃ?」
「そりゃそうか」
こんなにどこもかしこもか細くて子供みたいな顔をしていても、ルフィはれっきとした男だから。
「男とはヤったことねェから、痛くても文句言うなよ?」
出来上がってしまった体は若さ故にもう抑えが利かない。
ゾロはルフィの顔を至近距離で覗き込むと改めてデカイ目だなとか思いながら、すっかり乾いたさらさらの前髪をかきあげた。
生まれて初めて自分の上に立つことを許した男の顔を、じっくりと見ておきたい。
まぁるい額を撫で、掌を左頬に滑らせる。
目の下の傷は消えない傷痕のようだ。それを、親指の腹でごしごしと擦って。
「これ、痛てェ?」
「痛くても文句言うなっつったのゾロじゃんか……」
ぷくっと頬を膨らませて、ガキのように拗ねてしまう。
「……」
「うははっ。ジョーダンだ、痛くねェよ? 10年も前の傷だもんよ」
「へぇ、そうなのか」
「ゾロは? どっか傷ねェかなー」
と背中に回ったルフィの両手がゾロの肩甲骨や背筋をぺたぺた、ツルツル。
背中に傷なんかあるかアホ、とちょっとムッとしたがルフィはゾロの信条など知らないのだ。
「勝手に探せ」
言いながらもルフィの首筋に顔をうずめれば、もうくすぐったがらなかったルフィは一層ゾロに抱きついてきた。
ピタリと合わさった互いの胸の鼓動がドキドキとうるさい。
ハァ、と息をはいたルフィは少し興奮気味なのか、それは自分もなので、腰を使って猛った雄をルフィのモノにすり付けてやる。
「あっ?」
ルフィの裏筋をこするように濡れた先端で突いて。ぬるっ、こりこりっと刺激すればもちろんゾロにも快感が返って来くるから、次第にこする速さは増していった。
「ちょ、……!?」
ルフィが困惑するのも当然だ。普通、男同士でこんなことはしない。
「ルフィ」
ペロっと小さな鼻の頭を舐めたらルフィがきゅっと目を瞑って、ゾロのデコを両手で押し返してきた。
「やっ、ゾロ! ちんこ熱っちィ!」
更にぐいぐい押してくるルフィの手を一つにまとめ、その頭上に固定。
濡れて冷えた体には、涼やかな夜風。
もうすっかり夜の帳は下りているのだ、下がった体温にやったら熱を持った互いのペニスが燃えるように、愛撫し合っているのだから熱いのは当然だろう。
二本のサオの鈴口から溢れ出た透明の粘液が一層、二人の快感を誘発し、ルフィはまたも腹のもやもやに見舞われ抗おうと唇を噛み締めた。
なぜだろうこんなときなのに。じいちゃんやエースの怒っている顔がハッキリ浮かび、思わずぱっちり目を開ける。それから、
「ギャーごめんなさいっ」
ゾロの手を振りほどくと両手で頭を庇ってしまった。
「……はぁ?」
「あ……ゾロだった」
「おう。お前大丈夫か?」
ノーミソ。と続けたゾロはたいがい失敬だ。
そして唐突に気付く。
「これがやらしいってやつかァ……」
このもやもやはいやらしい自分への背徳感にもやもやしていたからだ。
だったら解放してしまえば……おれどうなっちまうんかなァ?
「今ごろ何言ってんだよ。ここ、おれに擦られてこんなにしといて……」
こんな、の部分をこするゾロが腰の動きを強くする。
「あーっ! こ、こらゾロ!」
サオの下のタマにまでねっとり汁をなすり付けられ、激しい摩擦にビクビクと体が勝手に跳ね上がる。
「あっあっ……や、いやだって! いやだっ」
「やだやだうっせェ」
「だって、あっん……んっ、ゾロ、そんなごしごし、したら……キ、キモチーの出るってーーっ!!」
どーん。
やっと出るって言えたぁ〜と気を弛めたルフィが、バカだった。矢先に襲ってきた射精感に目の奥がチカチカ光った。
「ふ、ぅう!!」
強い快感に、喉元を仰け反らせる。
それを見計らったかのようにゾロの悪戯な手がルフィだけを握り、痛いくらいにしごきまくってくる。
皮を根本に打ち付けられ、先っぽの窪みをぐりぐりやられ。ルフィは半ば、暴発の勢いで達していた。
「──…はぁあああ〜〜」
キンモチイイ。ちんこまだじんじんしてる……。
全部出しきって余韻でぶるんっと身を震わせると、自分の腹に熱い体液がポトポト落ちているのを感じる。
ハァハァ全力疾走した後のように激しい呼吸でぼんやりゾロを見上げたら、ばっちり目があってちょっとビックリした。
「……?」
「ルフィのイク顔、見ちまった」
「うん。出たもん。スゲー久しぶり……」
「けど月明かりじゃよく見えねェなァ、ちっ」
ちっ??
「あ! おれまた汚れちまったよォ、ゾロ〜。ゾロの手も汚したよな……ごめん」
「これは使うからいいんだ」
「……飲むとか?」
「飲むかァ!」
「えーなんで。うまかったら勿体ねェぞ!?」
「そこまで言うなら自分の、味見してみろよ」
ゾロはルフィの顔の前、白濁を纏わせた掌をパッと開いてやった。もちろん嫌がらせだ。
「してみる」
「マジか!?」
そこまではしないだろうと踏んで言ったのに。ルフィはゾロの手首を掴むと、本当に舌をべーっと出してきて。
意外に長い睫毛を伏せ、その赤い舌先で、自分の長い指をぺろり一舐めした光景はけれど、ゾロの下半身を直撃するに充分な衝撃だった。
やっぱ悪魔の息子だなコイツ……。
「おえー激まずっ」とルフィが青くなっている。
ゾロはそんな様子も目に入らず体を起こし、ルフィの足を左右に大きく開く。
驚愕したのは、今度はルフィ。
「いーっ!? こ、こんな格好おれいやだぞゾロ! カッコ悪りィじゃんか!!」
「セックスは端から綺麗なもんじゃねェよ。だから心底惚れた相手か、嫌われても屁でもねェ奴としかできねェんだ」
「と、とにかくカッコ悪ィのはダメだ」
「お前おれの話し聞いてたか? カッコ悪くねェよ、ルフィはちっともカッコ悪くなんかねェ」
「そんなん嘘だ! だ、だって──」
イったばかりのギトギトちんこも、自分じゃどんなのかも知らないケツの穴まで、丸見えなのに……?
「スッゲー、エロエロ。見てるだけでイっちまいそう」
熱く囁くゾロの独白にルフィは自分の股の間にいるゾロを瞳に映す。
ゾロのこめかみを伝う汗がキラリ月夜に光って、つうと顎まで流れ落ちていく。
逞しい胸筋にも玉の汗を幾つも浮かばせ、ボコボコした腹筋はひくんと戦慄き、そこへへばりつくように屹立している男根の裏筋に血管が浮かんでいるのすら、克明に解るくらい。
でもってやっぱ、ゾロのはデケェ……。
悔しさよりもまた腹のもやもやが勝った。
それは劣情といって、ルフィがゾロに欲情している証拠だったがルフィが理解するには至らない。
「エロ……?」
その単語には聞き覚えがあり、確か宴の席でダダン達が使っていた気がする。エースなんか、それでからかわれて真っ赤になってキレまくりの大乱闘だったような……。
そんな大人仕様(ルフィ基準)の単語をこのゾロが、自分の体を見て使ったことが、ルフィには不思議でたまらなかった。
「指、入れるからな。馴らさねェと入んねェ、多分」
「??」
どこに、何を? とルフィが想像する間もなく、ゾロの濡れた指がルフィのおしりの穴に突っ込まれた。
ルフィは結構な勢いで体を起こしたが胸をドンと突かれて逆戻り。
ゾロが痛いっつってたのこれかァ……としみじみ思い出すほど無理やり拡げられたソコは痛くて痛くて。おれゴムなのにィ〜と情けない泣きは入るし、ついでに腹筋にも力が入るし。
「ルフィ、息止めんなよ?」
「む、りっ。気持ちワリィ……」
「だろうな」
おれだったら願い下げだ、と言いかけてゾロはやめた。怒り出すに決まってるから。
「ゾロ、これも、セックス……?」
「寧ろこっからが本番だ」
「うっわ〜〜」
そのリアクション解りづらい……。
ゾロは何度か抜き差しを繰り返し、慎重にルフィの様子を探った。
熱く柔らかなナカがざわざわとゾロの指に絡み付く。
ルフィはひたすら我慢しているようで、ゾロの「息止めんな」と「息吐け」の二種類しか思い付かないそれに「ムリムリ」といちいちうるさい。
自分の気の利かなさをゾロは棚に上げ、ぐずりまくるルフィをなだめ透かしてやっとのこと2本目を挿入した。
「あーあのな、悪いこと言わねェから力抜いてみろよ、ルフィ?」
「ムリ!!」
やっぱりか……。
「もうムリムリ言ってろ」
ぶっちゃけゾロは早く入れたくてたまらないのだ。せめて喋ってれば息は自然と吐けるだろう。
ルフィのナカを掻き回しながらも親指の腹でピンクのクチを労るようにさすり、いつほぐれるとも解らない前戯を根気よく続けた。
もう1本増やすべきか。だけど傷つけてしまわないだろうか。
やろうかやるまいか、悩んでいる余裕はもう殆どゾロには残されていない。けれど幸いにもまた失念していたあることをゾロは思い出した。
「ルフィ、ゴムだったよな」
「ムリムリ、ムリ!」
「解ったから……」
ちょっとだけ迷ったけれど3本目を入れた。ぎゅうぎゅうに押し込んだ指がルフィの後孔を更に広げる。切れた様子もなく、安堵。
また「ムリー!」とルフィが叫んであふあふ息を吐くので、その効果も手伝ってか徐々に徐々にその蕾はほぐれていった。
ちなみに、ルフィはといえばもう、頭の中は大パニック状態だ。
何かすがるものを求めて甲板をガリガリ引っ掻く。
その手をゾロに取られ、ちょっとムッとしつつもゾロの肩に掴まるように言われ遠慮なく爪を立てた。
「ゾロ……っ、きっつい! なんで……?」
セックスってのはどうにも、訳がわからなくて困る。エースも自分にこんなことをしたかったのだろうか。
こりゃー確かに惚れた奴しか許せねェ……。
「一緒にキモチヨクなるためだ」
ゾロの片腕がルフィの首の裏を通って肩を抱いてくる。
「キモチヨク……なるのがセックス?」
「ああ、一緒にな」
「うぅ〜ん……」
ゾロだってちっともキモチヨクなさそうなのに……?
「すまんルフィ、もう限界だ」
いきなり3本の指を引き抜かれ、ルフィはパチリと目を開けて間近にあったゾロの顔を見たけれど、なんだか酷く辛そうで眉尻を下げた。
何もしんどいことをわざわざやらなくていい、そう言おうと思ったルフィの口が開いたままとまる。
なぜならぶつかってきたゾロの切れ長の瞳が痛いくらい自分を欲しがっているように見え、ルフィの心臓がドクンと跳ねたからだった。
「ゾロ…っ」
「入れるぞ?」
「えと、うん」
たくさん浮かんでいた疑問は、その瞬間に捨てた。
これは自分が選んだ男なのだ、だからゾロを信じる。
肩を抱くゾロの腕に力がこもり片足を抱え上げられた。
潮の匂いに混じって知らない匂いがルフィの鼻腔を掠め、それがゾロのなんだと思った途端、ゾロが何をしたいのか漠然と理解した。
「あ……あっ」
さっきまで指がこじ開けていたアソコにもっともっと大きなモノが入ってくる。
両腕で抱き締められ腰を進められ、たまらず抱きつく。
ズ、ズ、と侵入してくる感覚は、ルフィが久しく感じていなかった恐怖を生んだが、同時にどうしようもなく高揚させられた。
「ルフィ、もうちっとだから」
「ん、うんっ」
突いては引き、引いては突きながら徐々にルフィのナカを埋め尽くしてくる、異物。
それがゾロの肉棒だともう解るから、これがセックスなんだと、ルフィの意識にすとんと落ちた。
ハァっと深く息を吐き出したゾロの動きがようやく止んだ。
ルフィと一つになり、ドクドク息づく様までありあり感じる。
「ゾロの全部、入ってるか……?」
「入ってるぜ」
「顔、見せろ」
「ああ……?」
上げられたゾロの顔を月の光がなんとか見せてくれる。
やっぱりチリチリ燃えるふたつの瞳が、ルフィはとても綺麗だと思った。


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