【F2119】海賊|第2部

□「竜宮城の密会」
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「このお城どこもかしこもゴーカーだよな〜〜」
「豪華な。まぁ国王の家だからな」
「家か。うはは」
ゾロが何を言ってもしてもルフィの笑い虫が騒ぎだす。
二人っきりになれたことがルフィをさらに高揚させていく。
それはゾロも同じなので、まるでベッドのような青いビロードの豪奢なソファに、トサッとルフィを押し倒した。
とりあえず麦わら帽子は脇で静観して貰って。
「わわっ、さっそく!?」
「アホかヤらねェぞ」
「そうなんか??」
「……最後まではな」
「んっ?」
久々の大好きな男の重みにルフィの心臓はバクバクし始める。
以前ゾロが愛用していた白シャツではなく、広く開いた着物の襟元からは、屈強な胸筋が惜しげなく見えていて。
鷹の目に斬られた袈裟懸けの傷もよく見えあんときは泣かされたよな〜と思い出すも、もうなんだか懐かしい。
ぺたりと掌を当てたらゾロの片足がルフィの膝を割り、節張った剣士らしい手がルフィの腰紐をほどきに掛かった。
しゅる、と解かれたそれに、ルフィはゾロの肩をぎゅっと握る。
そして首筋を這う濡れた感触にぎゅっと目を瞑った。
最後まではしないとゾロは言ったが、まるで「これから始めます」的なムードは2年以上もご無沙汰だったから。
2年前ゾロに抱かれていた自分はこんな時どうしてたっけ、と必死に思い出そうとするも、頭ん中はすっかり靄がかかったみたいになってすぐにはムリそうだ。
しかしぼそっと呟いたゾロの言葉に、ルフィはまたぱちりと目を開けた。
「布が増えた……」
「ぬ、の??」
「腰紐とか、肩見えねェし袖長ェし。つーかなんだこのひらひらは」
「ひらひらって……そんなひらひらしてねェだろ? だからマーガレットが作ってくれたんだって」
「知るか」
「なんで不機嫌になってんだ!?」
「不機嫌じゃねェ、色々抑えてんだよ」
「わからん……」
「ルフィ」
急に真摯に名を呼ばれ、目と鼻の先で瞳を覗き込まれる。
船でも思ったけど、いつもふたつの眼で射てきた眼光が今はひとつしかない。
縦傷の走る左目はやっぱり閉じたままで、もうルフィを映してはくれないんだと自覚した途端、やっと自分はちょっと淋しかったんだと悟った。
ルフィがへにょり、と眉を下げる。
「またそんな顔する……ったくてめェはなんでそう後からじわじわキちまうんだよ」
「……そんな顔ってなんだ。知らねェもん」
「これまで以上に見ててやるから、今すぐその顔やめろ」
「ゾロ……」
そう言われるとなぜかすとんと気にならなくなるから、おれって単純なのかなー……(今更)。
また、くちづけがいくつも降ってくる。
頬とか鼻先とか顎とか、左頬の傷にも。
それから唇を啄んで食むように合わせると、お互いを吸い尽くすようなキスをたくさんたくさんした。
「ハァ……。ゾロの、ちゅー、うまくなったような気がする……」
「んなわけねェだろ、2年以上もしてねェんだぜ。あぁお前は相変わらず下手っクソだったな、修業の成果出てねェぞ?」
「だっから、おれがどんな修業してたと思ってんだ!? サンジもゾロもさぁ……」
女ばっかの島にいたからって、ナミみたいなのがうじゃうじゃいるようなとこで何ができるってんだ。
そもそも女ヶ島じゃねェし、できてもしねェけど!
「いや女共じゃなくて……あーわかったわかった。船長は頑張った」
なんだそのおざなりな感じ、とルフィは思ったが、また口をふさがれて文句を言えなくなる。
今はこんなに近くにいることを感じる時間であって、過去を振り返る時間じゃない。
お互いそれを知っているのに空白の時はあまりに大きく。
触れて触れて埋め尽くしたい……。
焦れば焦るほどなぜだか空回りしているような気がしてくる。
どうすればいいのか、不器用な二人はまだまだ手さぐり状態なのだ。
ルフィはこんなにキスばっかしてんの珍しくねェ?と、1分とじっとしていられない自分に問いながら溺れるようにゾロの広い背に手を這わせていった。
まるで、気持ちが通じ合ったばかりのころみたいだ──。
ようやく解放されたルフィの唇は濡れて朱く照って。ゾロを厭がおうにも煽ってくれるが、これだけキスしておいて今更むさぼり方を忘れた気がして参ってしまった。
そんなゾロの指先が、つつっとルフィの鎖骨をたどる。
けれど胸の中心に触れようとしたとき、痺れたみたいにピタリと止まった。
赤いバッテンの傷痕をゾロの右目が細く見つめる。
まずはここからなんじゃないか、とゾロは思う。この大きな爪痕を自分が乗り越えなければ、ルフィを抱く資格なんかないんじゃないかと。
なのにやっぱり触れるに触れられず、ルフィの締まったウエストを掌で撫で上げた。
「ん…っ」
わずかな刺激に身をよじる。
「ああ、ルフィ……」
「…?」
「キスで反応しちまったか?」
股間をぎゅっと握ると思った通りルフィのものは硬く勃ち上がっていて、その細身がひときわ大きく跳ねた。
「い、いきなり……!」
「悪りィ」
しかしこの謝罪は触ったことにではない。
ルフィの腰紐をぐいぐい緩め半ジーパンのボタンを外し、チャックを下ろす。
当然ルフィの手がそれを阻止しようとしたがゾロには何の抵抗にもならず、相も変わらずなにも履いてない船長にやっぱりかァと内心笑み、久々に見るルフィのペニスに食い入るような視線を送った。
「み、見てんのか?」
「見てる」
「おれの、なんか変わっちまった……?」
「いや。なんだ、まだキレーな色してんじゃねェか」
「まだって……」
「あんまヤってねェのか?」
レイリーと。
「や、やってねェよ?」
一人えっちとか。つーか、やり方よく知らねェし。
修業を始めた最初のころ、ゾロを想ってたまに自分で慰めていたけれど、一度レイリーにバレてからは何となくやらなくなった。
そんなカッコ悪い過去を負けず嫌いのルフィが言える筈もなく、ゾロの誤解が解けるのはいつになるやら……。
「出させてやる」
「マ、マジで!?」
「そんくらいはいいだろ?」
「い、いいんかな? いいよな??」
つーかして欲しいんだもんな、おれ!?
やはりそこは豪胆で楽観的なルフィのこと、結局「早く早く!」と急かしてゾロにイかせて貰うことにした。


「……っ、…ぁん、あっ!」
ルフィの甘ったるい声がゾロの頭上から聞こえてくる。
脱がせたジーンズを中途半端にズリ下ろしたまま。
どうせなら口でしたくて、ゾロは貪欲にも船長の欲望を咥え舌で唇で歯先で、指でもって丹念に愛撫する。
その度に上がるルフィの気持ちよくてたまんねェ≠ニ代弁する喘ぎ声が更にゾロを駆り立て、もっともっとヨクしてやろうと弱い部分を執拗に攻めてしまう。
ゆっくり味わいたいのに……どうにも、コントロールが難しい。
どんだけコイツの免疫切れてんだ、と自分にげんなりするも、多分それはルフィも同じだと思うのだ。
「あ、ちょ…と、ゆっくり……っ」
船長の訴えにゾロはわざとぢゅうっと吸い上げ、一旦くちを離すと「ムリ」とだけ答えてまた奉仕を開始した。
「え、ゾロっ、待……ああっ」
もっと啼け、と思う。
「イイ声」
鈴口をべろりと舐め上げ、真っ赤なルフィの顔を満足げに見やりニヤと笑って。
スライドする速さを増せばルフィはビクビクと顕著に胸を喘がせた。
「バッカ…ゾロ! …あっ、ゾ……ぁっん! ひぁ…あ……っ」
だけど今後一切、こんな声をほかの男に聞かせるもんかと入り混じる嫉妬心に、またこっそりゾロは嘆息するのだ。
修業で培った忍耐力も自制心もルフィの肢体の前では形無しだ。
それは再会してついつい傍を離れられなかった数時間で悟っていたのに、こうして目の前にしたらゾロの予想など軽く凌駕してくれて。
「……ルフィ」
ゾロの熱い吐息がルフィの敏感になりまくっているピンクの尖端にかかる。
それにすらルフィはぴくんと膝を跳ねさせ、自ら脚を開いた。
ぷるぷる震える柔らかい内股にゾロは吸い付き赤いうっ血を残し、それでどうにか消えかけた理性を保持。
「も、ダメだ、おれ……出してェよゾロ」
ルフィの両手がゾロの少し伸びた緑の髪をやや押しやってくる。
ルフィは19になろうが快感には弱く不慣れらしい。そしていつもいっぱいに熱をため込んでしまうのだ。
だからあっという間に翻弄され痴態を晒してくれるから、ゾロにすれば可愛くてたまらない。
そんなところも変わらねェんだな、と安堵もするのに、2年ぶりのルフィはやっぱりちょっと大人びた色香を放って、また色んな奴を誑かすんだろうなァとどうしようもない気分にさせられる。
優越感と、焦燥と。
どっちとも、これからも自分は付き合っていくのだろう。
ルフィといる限り。ルフィがいる限り。
こりゃあ一層の覚悟が必要だとゾロは自嘲し、だけど望むところだと挑む気持ちで、ルフィを一気に爆ぜさせた。


ルフィの身づくろいを整え、ゾロのナニが落ち着くのを待ち(ご苦労様…)、ふたりでまた迷子になりながらつかず離れず王宮を周遊した。ゾロについて行ったら同じところをぐるぐる廻ってただけだったけども……。
目と目が合ってはにんまりしてしまうのは、二人でいるのが嬉しいからで。それはお互い口にしなくても解っていること。
「ゾロ平気か?」
「……股間見んな。平気じゃねェ、次に二人きりになったら覚えとけよ」
「好きにしていいぞ?」
「そのセリフ忘れんな!」
軽口すらも楽しい。ルフィは腹を抱えてあひゃひゃ笑う。
またこうやって心の底から笑顔になっている弟を、エースはどっかから見てて安心してくれてたらいいよなぁ、と麦わらをつばを両手で引き下げ俯くと、ちょっとだけ目を閉じて強く願った。
「あっ、ゾロゾロ、ここまっすぐ行かねェ?」
ルフィが行く先を誰かに聞くのは珍しい。
しかし、
「いや右だろ右」
「じゃ左だーーっ!!」
やっぱりルフィはルフィだった。
「ケンカ売ってんのかっ」
目くじらを立てるゾロを取り残してさっさと走り出す。
ゾロに気持ちいいことして貰ってご機嫌さんだが、腹は本当の本当に限界なのだ。さっきの扉はどこだ。
「あ、ほら見ろゾロ! あったぞあのでっけー扉!! ……あり? ゾロ??」
振り返ったときにはもうゾロの姿は見当たらなかった。
あー。絶対アイツ、近道だとか言って別の通路に入ったんだ……。
「まーいっか! すぐまた会えるもんなっ!!」
と思ったルフィは大甘だったし、ゾロはゾロでこのあと「ルフィがいねェじゃねェか!!」と逆ギレすることになるのだが、今の二人に解るハズもなく。

「さーてメシメシ〜〜!!!」
腹ごしらえ腹ごしらえ♪
ルフィは重い扉を軽々片手で開き、まさかの人魚姫遭遇にたまげるとも知らず、真っ暗い部屋の中へと足を踏み入れたのだった。





(おしまい)

コマとコマの間を思いっきりねつ造してすいませんでしたm(__)m
離れ離れきつい…!
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