【F2119】URA

□「ヤクザな奴ら」
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自分の中で果てた屈強な男の体が、とさり、と覆い被さってきた。
互いに息を乱し、しばらくハァハァと呼吸を整える。
耳にかかる男の息が熱い。それがくすぐったい。
ルフィはうひゃひゃと笑って、男の汗ばんだ肩をペチペチ叩いた。

「満足したか? アニキィ〜」
「……まだだが」
「えっ」
「ぜんぜん足りねェ、わかんだろ?」
入れたままのナニをわざとビクリ動かしてみせる組の先輩に、ルフィは思わずキュッと入口を絞め付けてしまう。
極道の上下関係は甘いものではない、三下のルフィに兄貴分のゾロがぶつけてきた欲望を、拒む権利などなかった。
「お、おれっ」
はっきり言って無理……。
「誘ってんのか? 絞めんな」
「誘ってません!!」
アニキって色々マヌケなとこあるクセに、いっつも自信たっぷりなんだよなー!
その自信が裏付ける強さがあることを、もうルフィは知っているけれど。

ルフィは慌ててゾロの肩を押し退け、その顔をのぞきこんだ。
ゾロの切れ長の瞳は片方が瞑れている。
その原因だろう傷痕が、額から頬にかけ縦一文字に残っていた。
なぜ、どこで、どうやってつけたかなど、下っ端のルフィは聞かされていない。
眼を合わせるなり食らい付くようにキスしてきた兄貴分にルフィは大人しく目を瞑るも、舌を捩じ込まれてぎゅっとシーツを握った。
抵抗したら、ここには置いてもらえない。
ルフィは自分の名前以外、実は何も覚えていないのだ。
数ヵ月前に路地裏で転がっていたところを、このゾロに拾われた。つまり拾った相手が悪かった。
まさかヤクザ屋さんだったとは……ルフィはしばらく気づかぬままゾロの自宅で世話になっていたのだが、ある日事務所へ連れていかれ、いつの間にやら新入り扱いされていた。

ゾロは「鷹之目」組という暴力団の構成員で、霜月支部を任される幹部だった。
小さな事務所に一体何人所属しているのやら知らないが、わりと気のいい連中ばかりで、結構ルフィは気に入っている。
もちろんキレれば手のつけられないチンピラどもだけどルフィには皆が優しかったので。
そして初出勤(?)から帰ったその晩……ゾロはルフィを無理やり抱いた。
とりあえずショバ代だ、とか言って。
よっぽど殴って出て行こうかと思ったけど、そのころにはもうすっかりロロノア・ゾロというこの悪党に、情が移ってしまっていたのである。

その辺の過去は、また追々。
今はそれどころじゃない。

ゾロの筋肉質の腕がルフィの細い腰に巻き付き、もう片方の腕が片足を抱え上げた。
「んっ、ンッ、んんー!!」
また、ぱんぱんと容赦なく腰を打ちつけてくる。
相手の秘密を握るにはベッドの中が一番、とゾロに教えられたけれど、いつ実践すればいいのか解らないし、ルフィが解ったのはゾロのナニのサイズとセックスの仕方くらいだった。
「ハッ、ハァ…あっ、アニキ……っ」
「ゾロって呼べよ。ここは事務所じゃねェんだぜ」
「んっや……! あぁあっ」
「おい聞いてんのか?」
「ゾ…ロ、ゾロ……!」
無理だキツいと毎回思うけれど、すっかりルフィの体は順応し始めている。男に抱かれる悦びに……。
たぶん、自分はゾロが初めてだと思う。
貫かれながら胸の飾りをぢゅっと吸われ、また我知らずアソコをきゅんと締め付けた。

「お前、むちゃくちゃイイぜ。もう女いらねェかもなァ」
カリッとチクビに歯を立てられそんなこと言われても、悔しいことにもう翻弄されかけている。
「あっ……もーイきたいっ」
「そう慌てんな」
「慌ててねェ!!」
牙を剥けばゾロがくつくつ面白そうに笑った。
分身を握り込まれ、根本を締め付けてくる。そうすると出口を見失った濁流は行き場を無くすのだ。
ひ、ひっでェ〜〜!!
「やっやだ! 手ェ離せアニキのバカ!!」
「バカたぁなんだ兄貴に向かって。斬られてェのか?」
ドスの利いた声が耳元で嘯く。その声ヤベェんだって、とか思いながらルフィはブンブン首を振った。
この人はこの現代にあって未だ刀を振り回している古風なヤクザなのだ。
しかも、凄腕。
ルフィもケンカはかなり強い方だったとこの間、隣の島との抗争で自覚したのだけれど、実際の話しルフィはゾロの美しい剣捌きに見とれまくっていた。

「あ、ぅあ、あん……っ」
ギシギシとベッドが唸りを上げる。
射精感にぶるりと体が震えるも、塞き止められて腹が痛くなってくる。
ルフィは生理的な涙を両腕をクロスさせ隠しながら、その後、何度もガツガツ後ろを犯され続けた。


「おれもヤクザなんかな」
ルフィはゾロの腕枕で暗闇の中、なんとなく眠れなくてぽわぽわでっかい目を開け天井を見ていた。
そしてそんなことを呟いた。
ゾロに引き入れられたからとかじゃなくて……もっと前から。
なぜならルフィの胸には赤くわずかに盛り上がった、バツにも見えるかなり大きな傷痕があったからだ。
「アニキにもあるもんな、デッケーの。これこれ……」
ルフィはごろんとゾロに寝返って上掛けの下、男のつるつるの胸に掌を這わせた。
左から右に伸びる袈裟懸けの傷。これは昔、宿敵に斬られ敗けた時のだとそれはだけはあっさり教えてくれた。
だからおれも、ふつーの生活してこんな傷つけたんじゃねェと思うんだよな〜。
「でも覚えてねェし! まぁいっか!」
隣でぐーかぐーか眠るゾロにルフィはキュッと抱きついて、
「ん〜あったけ……」
あっという間に眠りの縁に落ちていった。

ただ、今はまだ、この人といたいと思う。





(了)


ぼちぼち続きます;
2部設定でパラレルってヤクザものしか思い付かなかったよね。



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