七班
□化合物の黄昏
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「ナルト、サクラ」
サスケに向けられる熱い視線を二人の名を呼ぶ事によって呼び寄せる。そして双方に直接的な口付けを贈るとふわりとした笑みをサスケは浮かべた。
緑茶の中で微かに香るアーモンド臭を感じながらサスケは渡された湯のみの中身を飲みほす。
そして、同時に感じる、締め付けられるような―――。
「・・・っ」
「あ、・・・サスケってば今の表情イイ・・」
息を飲み、歪められるサスケの表情を見てナルトはまるで情事の時の様な興奮を感じていた。蒼い瞳の奥に揺らめく熱が指先を伝わって浅く息を繰り返し始めているサスケへと伝播する。
「ハッ・・・ァ・・・」
「堪んない」
ゴトリと鈍い音を立てて床に落ちた湯のみがナルトの足指先へと当たる。その横で恍惚とした表情を浮かべているサクラが思わず、と言ったような綴りを漏らしてサスケを見つめていた。
「が・・・っハッ!」
詰まる息、歪む視界。
だがその中でもナルトとサクラの声だけは聞き洩らしはしないと、他の全てが雑音になろうとも二人が自分に向ける言葉は一生己の中に残り続けるのだと思えば堪えられぬものではない。むしろ耐えるべきものなのだ。
耐え忍ぶは愛情故。
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