七班

□化合物の黄昏
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 今日はお前の気分だ、と静かなだが微かに熱を帯びた声色で呟くナルトに、選ばれたサスケは深い漆黒をナルトに向ける。

 手の甲に添えられるよう重ねられたナルトの手がゆっくりと腕を伝ってサスケの喉元へと辿り着く。括れた鎖骨を撫で、咽喉仏を擦り延髄へと指を添わせると首を傾げて下から覗き込むナルトの表情にサスケは酔いしれる。

 ナルトがこのような言動をする時は決まっている。己の欲求を満たしたい時だ。だがそれは性欲や食欲、睡眠欲といった一般的な欲求では無い。



 異常なまでの征服欲。



 それを露わにする時ナルトはこのような行動を取る。許しを乞うような、だが決して許されるのを求めていないその行動に選ばれた側に拒否権は無い。
 ただ今から降りかかるナルトの征服欲を一身に浴びるのみである。

「サクラちゃん、アレとって」

 片手をサスケの首へと固定すると、微かに湯気を立てている湯のみを指差す。テーブルの端で静かに熱を発散していた湯のみをナルトに言われるがままサクラは手に取るとナルトの眼前へと持ってくる。
 そして続きの言葉を紡ごうとしたナルトの口を人差し指で抑えると、艶やかな笑みを浮かべてナルトの持っている小さなビンへと指を伸ばした。

「私に、開けさせて・・・?」

 見つめる翠はナルトと同じ瞳をしていた。

 承諾の意味を乗せた口元に、浮かべられた笑みと向けられたビンの蓋にサクラはありがとうと呟くと器用に片手で蓋をあげる。そして開けた瞬間漂う香りに更に深い笑みを浮かべた。



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