七班

□化合物の黄昏
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「ただいまー」

 玄関を勢いよく開けて盛大な音を出しながら室内へと向かってくる足音に、封を開けたお煎餅を口に運んでいたサクラは苦笑いし、その隣で緑茶を湯のみへと注いでいたサスケは小さく溜息を漏らす。そしてじきに来るであろう衝撃に備えて少しでも片付け事を増やさないよう急須やら湯のみやらをテーブルの端へ移動させた。

「たっだいまぁ!」
「・・・おかえり」
「おかえりなさい」

 玄関のドアよりも大きな悲鳴をあげた居間の扉から容赦なく飛びかかってきた愛しい少年を予想通りの状況でサスケが受け止めると、早く言いたかった言葉をサスケとサクラは口にする。

 サスケの両足を跨ぎながらその隣に居るサクラへとナルトは両手を伸ばし桜纏う香りに顔を埋めると、額に一つ小さな接吻を贈る。
 そして嬉しそうに笑うサクラからお返しの接吻をナルトは頬に貰うと今度はサスケへと向き直りサスケにも額への接吻を贈る。側頭部を撫でるサスケの白い指先に己の指を絡ませると再度ナルトはただいま、と呟いた。

「随分と長い散歩だったじゃねーか」
「ん、ちょっと三つ先の駅まで行って来た」
「もうっ、ちゃんとそういう時は連絡してから行きなさいって何度も言ってるでしょう」

 土曜日で学校の休みだった朝、珍しく朝早くから起きていたナルトはサクラの作った朝御飯を食べるとちょっと散歩に行って来る、と二人に一言告げると、今の今まで連絡一つ寄こすことはなく。
 ちらりと盗み見た壁掛け時計は三の数字を短針が回った頃だった。

 心配はしていない。だが不安だった。

 ナルトが突発的な行動を起こす事は今に始まった事では無い。今まで何度もそのようなことは経験させられたし、サスケもサクラも同じような行動はする。
 だから心配などしないのだ。ただ、傍に居ないと不安に感じさせられる。だから自分達の為にも連絡はして欲しい。



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