七班
□優しくて格好良くて強い人
7ページ/13ページ
***
家に帰ればありがとうと言うサクラの言葉にナルトが首を傾げると、横に居たサスケが何も言わず、だが棚の角に足の小指をぶつけるなどと言う珍しい失態を見せながら奥へと消えて行った。珍しいなと、ナルトが思っていれば出迎えた格好でサクラはまだ笑っていて、如何してかと問えば口元に手を当てて本当に面白そうに彼女はこう答えたのだ。
「本当にサスケ君はナルトの事が好きなんだよ。勿論私も、ね」
サクラの言葉は奥が深くて難しい事が多い。今回もこの例に当てはまってしまって、恐らくナルトには一生分かる事が無いのかもしれないと思った。
だが好きだと言ってくれたのは分かる。
それだけで十分だった、それだけでナルトは本当に世界で一番幸せだと思えたのだ。だから答えでは無いけれども、心からの笑みを向けて礼を述べた。
サスケは言わずもがな昼ご飯の用意へ、サクラもそれを手伝うと言って台所へと向かってしまえばナルトにする事は無くなる。
いい天気だが折角みんな揃っているのに態々外へ修行に行きたい訳も無く、だからと言って勉強なんて一人でやるのは以ての外。だからまた縁側に向かったのだ。あそこならば決して一人じゃない、共に囁き合うなんて事は出来ないが、勝手ながらもナルトが話しかけてやることぐらいは出来る。
「今日も元気だってばね」
.