七班

□優しくて格好良くて強い人
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 その笑顔を見てナルトは苦笑する。
 隠すつもりもなかったが気づかれない方がいいのかも、程度には思っていた。サクラは怒ってはいない、だが確実に呆れている。怒らせることよりも困らせる方がナルトには苦手だった。怒りを通り越して呆れる、という言葉はよく使うが、サクラの場合怒りもするがこういう場合は怒る以前に呆れる事が専ら多く、その呆れの後には必ず困ったような表情をする。

「・・・少しは、上達したかなぁって確認しようと思って」
「練習もしてないのに上達する訳ないでしょう、馬鹿ナルト」

 サクラは大きくため息を吐くとじっとナルトの指先を観察し安堵の表情を漏らす。その様子を見て今回は無事に壁を乗り越えたのだとナルトは悟り、その証拠としてポカリと殴られ痛みを発する頭を擦る。

「人には向き不向きがあるんだから、こういうのは向いてる人に任せればいいのっ」

 何度言えば分かるのかと怒られて、ナルトは苦笑するしかない。ごめんと口では謝っているものの、頭の中ではサクラの困った表情を見なくてすんだ事に安堵していた。

 大好きで大切な人を困らせるのは本当に苦手だ。
 ナルトの手の中にあったポーチは既に彼女の手の中で。ここは素直にサクラの優しさに任せてまた使えるように、否、前以上な綺麗な仕上がりになるだろうポーチを想像して、ナルトは再度風に身をあずけた。



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