七班

□尊敬余って憎さ100倍『続』
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 本日は少々違う。いつも以上に、粘る。
 いつもならナルトが全く相手にしないものならどんよりとした雰囲気を漂わせて諦め自分の部屋に閉じこもってしまうのだが、表情は憔悴しきっているのに精神の方は頑固らしい。いや、憔悴してるのだから頑固にならざるを得なかったのだろう。
 この雰囲気、このキモチイイ風に乗ってどこかにいってくはくれまいか。

「あの、な…火影様も心配、してることだ し」

 途切れ途切れの言葉はとても聞き取りづらい。それにこんなしどろもどろなサスケを見たら、サスケ君かっこいー!なんて叫んでいる女子は一体どんな表情をするのだろうと考えるだけでも面白かった。サクラちゃんは違う反応をみせると思うのだけど。

「暗部の奴らも、その…他の任務、あるだろうし」

 サスケが言葉を繋ぐ音よりも風鈴の音の方がきもちいい。サスケの家はナルトの家よりも風通りがよくて、夏の風物詩というのだろうか、それらがとてもよく映える家で、よく任務終わりのイタチに頼んで昔からお邪魔させてもらっていた。勝手知ったるうちは邸。

「お前も…」
「サスケ」

 一体何枚目になるだろう。茶色い風情ある焼き物に入っていた味様々の煎餅は見るからに数を減らしていて、どおりで口の中が痛くなってきたわけだ、とナルトは納得する。

 サスケの言葉を遮るように話し始めたのは感じたから。けど、もう一枚。今度は濡れ煎餅だからそんなには痛くないはず。



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